広島工業大学

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2023年度 卒業証書・学位記授与式式辞

暖かい春の陽気に包まれて、膨らみ始めた草木の芽や色とりどりに咲き誇る花々も、人生の節目を迎え、新たな一歩を踏み出す皆さんを祝福しているようです。
本日、ここ広島工業大学に集われた大学院修了生及び学部卒業生の皆さん、修了そして卒業、誠におめでとうございます。本学教職員を代表し、心よりお喜びを申し上げます。

保護者の皆様、本日は令和5年度卒業証書・学位記授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。ご子女のご卒業を心よりお喜び申し上げますとともに、これまで、本学の教育・研究に深いご理解とご支援を賜りましたことに心から感謝を申し上げます。

修了そして卒業する皆さん、これまでの努力が実を結び学生生活を終える今、皆さんは、大学で培った専門力のみならず、人間力や社会実践力を身に付けて、社会に巣立っていきます。大学で得た多くの知識や仲間と共に体験したさまざまな経験を活かし、これから大いに力を奮い活躍されることを期待しています。

学部卒業生の皆さんが入学した2020年は、新型コロナウイルス感染症が急拡大した年でした。社会全体が混乱の渦に巻き込まれ、多くの活動が制限されました。大学も例外ではなく、入学宣誓式を挙行することも、キャンパスに皆さんを迎え入れることもできませんでした。皆さんも大学に来ることなく大学生活が始まることになり、不安を感じながらのスタートだったのではないでしょうか。そのような状況ではありましたが、皆さん一人ひとりが、新しい日常を創るべく前向きに努力したことにより、今日の日を迎えることができました。皆さんの努力に心から敬意を表します。

世界的なコロナ禍を乗り越えたにもかかわらず、残念なことに、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ・イスラエル紛争など、多くのいのちが今も失われています。自分たちの正当性を主張するばかりで、相手のことを無視した軍事衝突が続いています。なぜこのようなことが続くのか。とても悲しいことです。一日も早く、世界中の人々が安心して暮らせる平和な世界になることを願ってやみません。

また、自然災害も絶えません。今年元日には、多くの方が犠牲となり、甚大な被害をもたらした能登半島地震が発生しました。懸命な復旧作業が続いていますが、まだ道半ばです。私たちはこのような状況に対して何ができるでしょうか。小さな支援でもそれが積み重なれば大きな支援となります。皆さん一人ひとりに、今できることを考え行動に移してほしいです。

大学では、建学の精神『教育は愛なり』、教育方針『常に神と共に歩み社会に奉仕する』の2つの教育理念のもと、皆さんが倫理観ある技術系人材として社会で活躍できるように、教育、研究、そして、支援を行ってきました。また、大学の存在意義を示すパーパスは「未来の、その先をつくる。」です。皆さんもこのパーパスの意味を理解し、そのような大学で学んだことを胸に、近い将来だけでなく、はるか先の未来を意識して取り組んでいきましょう。

社会は予測が難しく不安定な状態、すなわち、VUCAの時代を迎えています。このような時代に、安全で安心できる新しい社会を創り出すには、これまでの経験のみだけで判断するのではなく、一旦、全てを捨てるつもりで、新しい発想でものごとを考える柔軟な思考力も必要です。さらに、一つの専門分野の知識だけではなく、幅広い知識をもとに思考することが必要になってきています。

そのためには、多くの知識をインプットすること、すなわち、学び続けることが大切になります。大学を卒業すると、学ばなくて良いと思うかもしれませんが、これからの社会で活躍するためには、学び続けることが必須です。仕事をする上で必要な知識はもちろんですが、それ以外の一見関係ないような専門外の学びも忘れてはなりません。

しかし、学び続けることは簡単ではありません。常に意欲を持ち学び続けるためには、普段から身の回りのことに興味を持ち、そして、多くの疑問を持つことです。日々の暮らしの中には疑問がたくさんあります。なんとなくわかったような気になっているものでも、いざ、説明しようとするとできないことが多いものです。疑問を持ったことに対して、調べ、考え、意見をまとめる、これこそが学びです。ぜひ、多くのことに興味を持ち、疑問を持ち、学び続けることにも力を注いでください。

これから、皆さんの進む道はそれぞれ異なりますが、これまで大学で同じ時を過ごした仲間とのつながりを大切にしてください。その仲間とはこれからもお互い自由闊達に意見し合える一生の友となるはずです。また、私たち、大学の教職員とのつながりもあります。さらに、今日からは、皆さんも52,000名を超える本学同窓生の仲間入りをします。既に社会に出てさまざまな分野で経験を積んでおられる先輩方とのつながりも、きっと皆さんの力になることでしょう。

皆さんが、これからも柔軟な思考力と学び続けること、そして、人とのつながりを大切にして、本学での経験を十分に活かし、また、広島工業大学で学んだことに自信と誇りをもって、地域、日本、さらには、世界で活躍されることを期待して、修了そして卒業に際しての私の挨拶といたします。

令和6年3月16日
広島工業大学 学長  長坂 康史