広島工業大学

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2019年度入学宣誓式 式辞

皆さんの入学を歓迎するように、桜の花がやさしく咲き誇り、色とりどりの花々も新しい春の訪れを感じさせてくれる季節になりました。本日、これから始まる新しい生活に、期待に胸を膨らませて、広島工業大学に入学して来られた、大学院55名、学部1,195名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

そして、高いところから失礼いたしますが、ご臨席の保護者の皆様、ご子女のご入学、誠におめでとうございます。広島工業大学を代表し、心よりお喜びを申しあげます。

また、ご来賓の皆様におかれましては、本日は、ご多忙のところ新入生の門出をお祝いしていただきまして、誠にありがとうございます。

一昨日、四月一日に新しい元号「令和」が発表されました。この言葉には「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められているといいます。この令和の時代を担う新入生の皆さんが時代の要請に応えられるしなやかでたくましい人間になれるよう、広島工業大学では教育にあたってまいります。

本学、広島工業大学は、学校法人鶴学園という組織の中にある大学です。鶴学園には、広島工業大学をはじめとして、6つの学校があります。そして学園には、共通する教育理念として、二つの大きな柱があります。一つは建学の精神『教育は愛なり』、もう一つは教育方針『常に神と共に歩み社会に奉仕する』です。

建学の精神『教育は愛なり』という言葉は、本学園の校祖 鶴 虎太郎先生の言葉です。この"愛"とは、「想い」を持って教育にあたることを表しています。私たちは、「学生一人ひとりにきちんと向き合い、どのような教育を展開すべきか」、「それが学生の何を養うことになるのか」、そして「それがどのような人材育成につながるのか」という「想い」を常に持ち、学生の可能性を信じて教育に取り組んでまいります。

教育方針の『常に神と共に歩み社会に奉仕する』という言葉は、本学園創立者の鶴 襄先生の言葉です。この言葉には、高い倫理観を持ち、何事にも感謝をしながら、真面目に努力し、社会に奉仕する人間になってもらいたいという願いが込められています。私たちは、皆さんがそのような技術者に育ち、社会に巣立っていくよう、教育にあたってまいります。

さて、皆さんがこれから学ぶ広島工業大学では、2016年から「HIT教育2016」と呼ぶ教育プログラムを始めています。このHITとはアルファベットでエイチ・アイ・ティーと書きますが、広島工業大学の英語名称であるHiroshima Institute of Technologyの略称です。この「HIT教育2016」では、皆さんが、教育方針で触れたような社会に奉仕する高い倫理観を持った技術者として活躍できるよう、大きく分けて2つの力、専門力と人間力の養成に力を注いでいます。

専門力は、それぞれ皆さんが入学した学科の専門分野に関する力、すなわち専門的な知識や技術です。一方、人間力とは、「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と定義されている力です。本学では、皆さんが社会で活躍するために必要な専門力以外の力、例えば、自分の考えを相手に伝える力、何かを計画する力、計画したことを協力して実行する力などの力と位置付けています。これらの力は、社会人になった時に身につけていたい基礎的な力ということで、社会人基礎力と言う言葉で表現されることもあります。この人間力が注目された背景には、社会からの要請があります。企業では、一人で仕事をすることは多くなく、たいていは何人かの人が集まってチームを作って一つの仕事に臨みます。また、他の人と対話しながら、協力しながら仕事を進めることになります。しかし、大学を卒業して企業で働きはじめた新入社員をみると、チームで行う仕事をスムーズに行うことができずに、仕事が滞ることがある。このことから、大学では、専門的な知識はもちろんのこと、社会で活躍するために必要な人間力も身につけさせるような教育をして欲しい、という要請が社会からあったのです。

本学では皆さんに、さまざまな活動に参加してもらうことで、この人間力を身につけてもらう取り組みを行っています。その柱となっているのがHITポイント制度です。これは、大学が指定する活動に参加したり、また、イベントを企画、運営したりするなどの取り組みに対してHITポイントと呼ぶポイントを付与する制度です。サークル活動など継続的な活動のほか、イベントやボランティア活動など単発的または短期的な活動にも付与されます。獲得したポイント数によって、特待生の道が開かれるなどいくつかの特典が用意されています。その趣旨をしっかりと理解して、人間力を付けるためにさまざまな活動に取り組むことを期待します。

ここで一つ、HITポイントが付与される活動の一つである「HITチャレンジ制度」を紹介しましょう。この制度は、学生の皆さんが自主的に企画し、何かにチャレンジ、挑戦することを応援する制度です。選考の結果、みごと採択となると最大50万円の活動予算が認められます。

2018年度は5つのチームの企画が採択され、活動を行いました。例えば、充電式乾電池を動力としたエコ電気自動車を製作し、全国大会で優勝をめざすという目標にむけてチャレンジしたチームや、平和記念資料館で行われている免震化工事の複雑な工法を分かりやすく説明するパネルを作成、設置し、訪れる観光客の方々に理解してもらうことにチャレンジしたチームなど、そのアイディアは様々です。

以前、海外の研究者仲間から、日本の学生はもっとチャレンジしなければ世界で通用しなくなってしまうと言われたことがありました。確かにチャレンジする学生が減っているような気がします。技術が発展した結果、欲しいものはわざわざ出かけなくても居ながらにして手に入りますし、情報も求めればいくらでも入ってきます。このような便利な世の中になり、不自由のない生活に満足し、チャレンジ精神が低くなっているのかもしれません。しかし、多くの仲間と一緒になって何かに挑戦することは、時間のある大学生時代にするのが一番です。

皆さんには、大学生のうちに、何かに全力で挑戦する経験をして欲しいと思います。もちろん、成功することばかりではなく、失敗することもあるでしょう。挫折もあるかもしれません。でも、その一つ一つの経験が、皆さんの人間力を高めることになると考えるからです。是非、どんなことでも良いですので、失敗を恐れずにチャレンジして欲しいと思います。

私たちは今日から皆さんに、建学の精神と教育方針に基づいた教育を展開してまいります。専門的な知識をしっかりと学び、高い倫理観を持った技術者として成長されることを楽しみにしています。健康に十分注意しながら充実した学生生活を送ってください。

そして、皆さんが将来、日本、さらには世界を背負う、確かな専門力と豊かな人間力を兼ね備えた技術者として活躍されることを期待し、私の入学に際しての式辞といたします。

平成31年4月3日
広島工業大学 学長  長坂康史