広島工業大学

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2020年度 前期末卒業証書・学位記授与式式辞

式辞

本日、ここに集われた広島工業大学を卒業される皆さん、卒業おめでとうございます。本年度前期は普段とは異なる環境の中で講義や卒業研究を受けなければならず不便を感じることもあったかと思いますが、皆さんのこれまでの努力が実を結び、本日の卒業証書・学位記 授与式を迎えられたことを本当に嬉しく思います。本学の教職員一同、心より祝福いたします。

保護者の皆様、本日は令和2年度 前期末 卒業証書・学位記 授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。ご子女のご卒業を心よりお喜び申し上げますとともに、平素の本学の教育・研究への深いご理解とご支援に対し、感謝申し上げます。

さて、卒業する皆さん、大学生活はいかがでしたか。

大学では、建学の精神『教育は愛なり』、教育方針『常に神と共に歩み社会に奉仕する』の2つの教育理念のもと、皆さんに倫理観ある技術系人材として社会で活躍してもらいたいと考え、「専門力」と「人間力」の2つの力に着目し、教育や支援を行なってきました。

「専門力」は、皆さんの所属する学科で学ぶ専門的な知識や技術のことです。一方、「人間力」とは、社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力、例えば、コミュニケーションスキルやリーダシップ、チームで仕事を進めるための力などのことです。専門力については各学科のカリキュラムにより、その力を身に付けられますが、人間力については教科書で学べば身に付くというものではありません。サークル活動やボランティア活動、海外留学など、大学内外を問わず、多くの人たちと一緒に活動すること、また、多くの経験をすることで身に付くと考えています。大学では、皆さんが学生時代に様々な活動に関わり、多くの経験をすることを応援してきました。

大学生活を終える今、皆さんは、この専門力と人間力を手にして、社会に巣立っていきます。大学での経験を基に、これから社会で活躍することを期待しています。

今年、2020年はいろいろな意味で大きな「変化の年」になるでしょう。年初より新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、加速する社会のグローバル化により、瞬く間に世界中に感染が拡大しました。それによって、私たちは移動や行動の自粛を要請され、それまでの日常に大きな変化を強いられることになりました。また、東京オリンピックをはじめ、予定されていた多くの行事が中止や延期を余儀なくされるとともに、経済にも大きな影を落としています。このような中、私たちはなんとか新しい日常を見つけ出そうと努力しています。

これまで、多くの場面で、これからやって来る予測困難な時代への準備をしなければならないと言われてきましたが、今、問題となっている新型コロナウイルス感染症や気候変動などを考えると、すでに予測が難しい時代は始まっていると言っても過言ではないでしょう。これまで人類が経験してこなかったような事態が発生し、どのように対処して良いかわからない、そんな状況であることを皆さんも感じていることでしょう。

このような世の中を力強く生き抜くためには、何が大切でしょうか。

皆さんに、1921年にノーベル物理学賞を受賞した理論物理学者のアルベルト・アインシュタインの言葉を紹介しましょう。
Learn from yesterday, live for today, hope for tomorrow.
The important thing is not to stop questioning.
「過去から学び、今を生き、未来への希望を持て。大切なことは疑問を持ち続けることだ。」と意訳することができます。

私たちの学びは常に知識の修得から始まります。しかし、その知識はそれまでの考えや経験をまとめたものにすぎず、変化を望まなければ、それまでと同じことを繰り返すだけになってしまいます。今、人類は経験したことのない多くの課題に直面していますが、未来に希望を持ち、全世界が安全、安心、そして、幸せな生活を求めてその答えを模索しています。

その答えを見出すために大切なことは、アインシュタインの言葉にもあるように、これまで学んできたこと、経験してきたことを基盤として、社会で起きている様々なことに興味を持ち、それまでの当たり前を当たり前と考えず、常に疑問を持ち、考え続けることです。私たち一人ひとりが、真剣に考えなければならない時代になったといえるでしょう。

皆さんに、考え続けることの他にもう一つ大切にしてほしいことがあります。それは、人とのつながりです。これまで大学で同じ時を過ごした友達がいると思いますが、その友達は一生の友となるでしょう。また、広島工業大学で学んだことで、私たち教職員とのつながりもできました。さらに、これからは、皆さんも、約48,000名を超える本学の同窓生の仲間入りをします。これらのつながりは、どんな時も皆さんを応援してくれます。大学を卒業しても大切にしていってほしいと思います。

これから、皆さんの進む道はそれぞれ異なりますが、考え続けることと人とのつながりを大切にしながら、本学での経験を十分に活かし、地域、日本、さらには、世界で活躍されることを期待して、卒業に際しての私の式辞といたします。

令和2年9月19日
広島工業大学 学長  長坂 康史