2025年度 前期末卒業証書・学位記授与式 式辞
本日、ここに集われた広島工業大学を卒業される皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんのこれまでの努力が実を結び、本日の卒業証書・学位記授与式を迎えられたことを本当に嬉しく思います。本学教職員を代表し、心よりお慶びを申し上げます。
保護者の皆様、本日は令和7年度前期末卒業証書・学位記授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。ご子女のご卒業を心よりお慶び申し上げますとともに、これまで、本学の教育・研究にご理解とご支援を賜りましたことに、感謝を申し上げます。
今年、2025年は、広島・長崎に原爆が投下されてから80年の節目の年にあたります。被爆体験を直接語ることのできる方が少なくなる中、戦争や原爆の悲惨さ、そしてその後の復興の歩みが、あらためて広く取り上げられました。私たちは、これらの歴史をしっかりと見つめ、学び、未来へと受け継ぎながら、これからの社会を創り上げていく必要があるでしょう。
世界の人々は平和を希求し、安全で安心な社会の実現を願っています。しかし現実には、ロシアとウクライナ、またパレスチナとイスラエルの戦いに代表されるように、自らの正当性を主張するばかりで、相手を顧みない軍事衝突が長期にわたり続いています。
人は自分を中心にものごとを考えがちです。ただ、そこに少しでも相手がどのように考え、感じるかを想像することができれば、その答えは変わるはずです。世界で起こっている未だ終わることのない戦争はなぜ続くのか。一日も早く、世界中の人々が安心して暮らせる平和な世界になることを願ってやみません。
平和を願う声が高まる一方で、対立や暴力は絶えません。だからこそ、皆さんには身近な社会だけではなく、広く世界に目を向け、そこで起きている出来事から多くを学び、考え続けてほしいのです。その姿勢こそが、より良い未来へと導く力となると信じているからです。
また、今年は春が短く、冬からすぐに夏になったように感じられました。各地で35℃以上の猛暑日が連日記録され、40℃を超える地域さえありました。このように、地球温暖化によると考えられる異常気象や、それに伴う大規模自然災害の発生など、すぐ先の未来を予測することさえ難しい状況となっています。
このように変化が激しく予測が困難な時代では、過去から学び、その知恵を応用することも大切ですが、これまでに経験してこなかった課題に対処するために、過去の枠組みにとらわれず、新たな視点で物事を見つめ直し、その本質を捉える姿勢が必要です。そして、その課題の解決に向けて、多くの知識を結集し、仲間と共に考え、自らの手で未来を切り開くことが求められます。
そのためには、一つの専門分野の深い知識だけでなく、専門外の知識や、生きるための力を身に付けるための手法としてのリベラルアーツを学び、幅広い視野を持つことが重要です。皆さんは、これから大学を卒業し、社会へと羽ばたいていくわけですが、これからも多くのことに興味を持ち、学び続ける姿勢を忘れないでください。一見関係なさそうな知識は、すぐに活用する場面は訪れないかもしれません。しかし、それらは必ず、みなさんの人生のどこかで大きな力となることでしょう。多くを学び、自ら考える確かな基盤を築いてください。
大学では、教育理念である建学の精神『教育は愛なり』、教育方針『常に神と共に歩み社会に奉仕する』の下、皆さんに、倫理観ある技術系人材として社会で活躍することができる力を身に付けてもらおうと、さまざまな取り組みを行ってきました。また、大学の存在意義を示すパーパスは「未来の、その先をつくる。」です。皆さんもこのパーパスの意味を理解し、この広島工業大学で学生時代を過ごしたことを胸に、近い将来だけでなく、はるか先の未来を意識して日々頑張ってほしいです。そして、大学時代に身に付けた「専門力」「人間力」「社会実践力」を基盤に、これからも多くを経験しながら、失敗を恐れず挑戦し、学び続けることで、皆さん一人ひとりが、次の世代を担う、未来を創造する技術系人材になることを期待します。
これから社会に出る皆さんには、人との絆も大切にしてほしいです。これまで大学で共に学び、同じ時を過ごした友達は生涯の友となることでしょう。また、私たち、広島工業大学の教職員とのつながりもあります。さらに、これからは、皆さんも、約5万名を超える本学の同窓生の仲間入りをします。これらのつながりは、必ずや皆さんの力となることでしょう。
最後に、これから、皆さんの進む道はそれぞれ異なりますが、学び続ける姿勢と人との絆を大切にしながら、本学での経験を十分に活かし、広島工業大学で学んだことに自信と誇りをもって、地域、日本、さらには、世界で活躍されることを心より期待し、ここに卒業にあたっての式辞といたします。
令和7年9月16日
広島工業大学 学長 長坂康史