2026年度 前期末卒業証書・学位記授与式 式辞
本日、ここに集われた広島工業大学を卒業される皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんのこれまでの努力が実を結び、本日の卒業証書・学位記授与式を迎えられたことを、本学教職員を代表して心よりお慶び申し上げます。
保護者の皆様、本日は令和8年度 前期末 卒業証書・学位記 授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。ご子女のご卒業を心よりお慶び申し上げますとともに、これまで、本学の教育・研究にご理解とご支援を賜りましたことに、厚く御礼申し上げます。
さて、皆さんが大学生活を送ったこの数年間、社会は大きく変化しました。特に近年は、生成AIに代表される人工知能技術の発展が目覚ましく、これまで人間にしかできないと考えられていた知的活動の一部をAIが担う時代となりました。現在では、AIは研究開発、設計、製造、医療、教育など様々な分野で活用されており、社会の仕組みそのものを変えようとしています。皆さんがこれから活躍する社会は、AIをいかに使いこなすかが重要となる時代であると言えるでしょう。
しかし、AIがどれほど進化したとしても、人間に代わることのできないものがあります。それは、何が課題であるのかを見極める力、人と協働する力、そして、社会のあるべき姿を構想する力です。
AIは膨大な情報をもとに、短時間に多くの選択肢や答えを提示することができます。しかし、それらが本当に私たちの暮らしを豊かで幸せにするものであるかどうかの判断をするのは人間です。だからこそ、これからの技術者には高い専門性だけでなく、幅広い教養や倫理観、そして多様な価値観を理解する力が求められます。
一方で、世界に目を向けると、依然として各地で紛争や対立が続いています。また、地球温暖化に起因すると考えられる異常気象や大規模自然災害が頻発し、将来を見通すことがますます難しくなっています。私たちは、変化が激しく予測が困難な時代を生きています。
このような社会では、自分自身の立場だけでなく、異なる考え方や価値観を持つ人々の視点を理解しようとする姿勢が重要になります。技術が進歩すればするほど、それを活かす人間の知恵と協調の精神が求められるのです。
そのためには、一つの専門分野の深い知識だけでなく、専門外の知識や、生きるための力を身に付けるための手法としてのリベラルアーツを学び、幅広い視野を持つことが重要です。皆さんは、これから大学を卒業し、社会へと羽ばたいていくわけですが、これからも多くのことに興味を持ち、学び続ける姿勢を忘れないでください。一見関係なさそうな知識は、すぐに活用する場面は訪れないかもしれません。しかし、それらは必ず、皆さんの人生のどこかで大きな力となることでしょう。多くを学び、自ら考える確かな基盤を築いてください。
AIが急速に進化する時代だからこそ、皆さんには目の前の課題を解決するだけでなく、その先にどのような未来を実現したいのかを考え続けてほしいと思います。AIは未来を予測し、多くの可能性を示すことはできます。しかし、その中から望ましい未来を選び、創り出すことができるのは人間です。
大学では、教育理念である建学の精神『教育は愛なり』、教育方針『常に神と共に歩み社会に奉仕する』の下、皆さんに、倫理観ある技術系人材として社会で活躍することができる力を身に付けてもらおうと、さまざまな取り組みを行ってきました。また、大学の存在意義を示すパーパスは「未来の、その先をつくる。」です。
皆さんには、このパーパスに込められた思いを胸に、この広島工業大学で学生時代を過ごしたことに誇りを持ち、近い将来だけでなく、さらにその先の未来を意識して歩んでほしいと思います。そして、大学時代に身に付けた「専門力」「人間力」「社会実践力」を基盤に、これからも多くを経験しながら、失敗を恐れず挑戦し、学び続けることで、皆さん一人ひとりが、次の世代を担う、未来を創造する技術系人材になることを期待します。
これから社会に出る皆さんには、人との絆も大切にしてほしいです。これまで大学で共に学び、同じ時を過ごした友達は生涯の友となることでしょう。また、私たち、広島工業大学の教職員とのつながりもあります。さらに、これからは、皆さんも、約5万名を超える本学の同窓生の仲間入りをします。これらのつながりは、必ずや皆さんの力となることでしょう。
最後に、これから、皆さんの進む道はそれぞれ異なりますが、学び続ける姿勢と人との絆を大切にしながら、本学での経験を十分に活かし、広島工業大学で学んだことに自信と誇りをもって、地域、日本、さらには、世界で活躍されることを心より期待し、ここに卒業にあたっての式辞といたします。
令和8年9月14日
広島工業大学
学長 長坂康史