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広島工業大学

環境土木工学科

大村 訓史

教員紹介

大村 訓史OHMURA Satoshi

工学部 環境土木工学科 准教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○構造不規則系の物性理論
○計算物理学
【担当科目】
基礎力学 、 基礎力学演習 、 コンピュータシミュレーション入門 、 物理学実験
【研究テーマ】
1.液体金属、共有結合性液体の超高圧物性に関する研究
2.光励起による物質の非平衡ダイナミクスに関する研究
3.シミュレーション手法の開発
【ひとこと】

大学では教員との出会いや友人との出会いなどたくさんの出会いがあります。その出会いを大切にして、金持ちならぬ"人持ち"になって欲しいと思います。

研究紹介

大村 訓史OHMURA Satoshi

工学部 環境土木工学科 准教授

原子レベルでの精密シミュレーションという手法を活かし、
土木材料の可能性を追求
PROLOGUE

セメントに水、骨材を入れて固めるコンクリートは、構造物を作る上で定番の材料。歴史も古く、鉄筋で引張強度を高めた鉄筋コンクリートが登場した19世紀から数えて170年が経とうとしています。それほど長い時間の中で改良を重ねられてきたコンクリートだから、これ以上進化する余地はないんじゃないか…といった疑問に対し「そんなことはありません」と大村先生は答えます。大村先生は、物質の構造や性質を、原子レベルの精密シミュレーションによって明らかにする物理学者。先生は、コンクリートなどの土木材料を原子レベルで調べることにより、その可能性を拓こうとしています。

コンクリートなどの土木材料を原子レベルで分析するというアプローチは、あまりない

鉄筋コンクリートの歴史は170年ほどですが、コンクリート自体の歴史はさらに古く、ローマ帝国時代には使用されていました。そして今も、当時のローマン・コンクリートが現存します。2000年も前に作られたのに頑丈で、現在もますます強度が増している、とさえ言われます。なぜ強度が高いのか調べてみると、原子が規則正しく並んでいる結晶というものがあちこちに見られるようなのです。それがローマン・コンクリートの強度の秘密なのかもしれません。とするなら、原子を規則正しく並べる方法が分かれば、現代のコンクリートの強度・耐久性もさらに高くなるのではないでしょうか。
土木建築の主要建材であるコンクリートについて、設計や施工における研究は、様々な角度からなされています。その一方、コンクリートを原子レベルで調べるといった、物理・化学方面からのアプローチはあまりありません。私の専門である原子レベルの精密シミュレーションという手法を使えば、解明されていない部分に迫れるのではないか。そう考え、研究室の学生と一緒にコンクリートを原子レベルで明らかにする、という研究をスタートさせました。

研究は、スーパーコンピュータを
つかったシミュレーションが中心です

セメント系材料がカーボンニュートラルに貢献するかもしれない

コンクリートを生産する際、大量のCO₂を発生します。しかし実は、コンクリートにはCO₂を吸収する力があります。炭酸化と呼ばれるもので、建造後も空気中のCO₂を吸収し続けるのです。これにより中性化という現象が起こり、中の鉄筋が錆びやすくなる、と言われます。その点では、炭酸化(による中性化)は避けるべき問題です。
一方、鉄筋を用いていないローマン・コンクリートが2000年後も健在である理由に、炭酸化を挙げる科学者もいます。あるいは、解体し終わったコンクリートを利用し、CO₂を吸着させようと研究するグループもあります。
コンクリートは、寿命の長い建材です。もし炭酸化をうまくコントロールすることができれば、生産時に排出した以上のCO₂を固定することも可能かもしれません。すなわち、カーボンニュートラルに貢献するエコな建材になるかもしれないわけです。
コンクリートを原子レベルで調べれば、CO₂を吸収する作用が詳しくわかるかもしれません。耐久性を損なわず、多くのCO₂を取り込む方法を見つけられるのではないでしょうか。

セメント内の鉱物がCO₂を
取り込む様子のシミュレーション

新たな分野だからこそ、新たな発想やアイデアが必要

機械や電子の分野では、素材を原子レベルで調べ、製品の品質向上に活かす、といったことが普通に行われています。しかし土木建築では、対象となる建造物が巨大過ぎるせいか、原子レベルでの詳細な分析は少ないようです。そこに、物理を専門とする私の存在意義があります。
今後は、建設会社などと連携し、コンクリートの品質改善やカーボンニュートラル、といった取り組みも進めていくつもりです。そのためには、学生の斬新な発想が不可欠です。あまり取り上げられていない新分野だけに、既存の枠にとらわれない学生のアイデアこそが、研究を発展させる推進力になるでしょう。
遠い未来の話ですが、宇宙開発が進み、火星に基地を作ろうとしたとき。地球から資材を運ぶわけにはいきませんので、現地調達することになります。火星にある材料でコンクリートを作ろうとしたとき、地球とは成分が違うので、地球と同じ作り方で良いのか、十分に検討する必要があるでしょう。
その際、原子レベルで精密にシミュレーションする手法を使えば、効率的な検討が可能になります。火星で作ったコンクリートの耐久性がどれほどか、火星に行かなくても推定できるはずです。原子レベルのシミュレーションが土木建築分野でできることは、むしろこれから広がっていく。そう考えています。