広島工業大学

  1. 大学紹介
  2. 学部・大学院
  3. キャンパスライフ
  4. 就職・資格
  5. イベント情報
  6. SNS一覧
  7. 施設紹介
  8. 2024年度以前入学生の学部・学科はこちら→

広島工業大学

機械情報工学科

章 忠

教員紹介

章 忠SHO Tadashi

工学部 機械情報工学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○知的システム
○計測工学
【担当科目】
情報システム 、 情報システム応用 、 情報の基礎 、 AI・データサイエンス入門 、 知能機械工学実験 、 社会実践A/B 、 自由デザインB/C 、 社会実践C/D 、 知能機械工学ゼミナール 、 数値計算
【研究テーマ】
1.ディープラーニングによる表面欠陥検査システムの開発
2.AI技術による運転支援システムの開発
3.ニューラルネットワークによる検査員技能評価システムの開発
4.音源定位及び音源分離に関する研究
5.ウェーブレット瞬時相関による非定常異常検出システムの開発
【ひとこと】

研究は真似から始まること; 困難を避けるではなく向かうこと; 一人で悩むのではなく、話してみんなに考えさせること; 誠実、思いやり、助け合いの気持ちを持つこと。

研究紹介

章 忠SHO Tadashi

工学部 機械情報工学科 教授

キラキラ輝き、映り込みも激しい鏡面部品の欠陥をどうやって見分ける?
PROLOGUE

自動車のサイドミラーやエンブレムマークの表面は、めっきが施され、まるで鏡のようにキラキラと光り輝いています。家電製品やスマートフォンでも、同様のキラキラ部品がフレームや外装などあちこちに使用されています。高級感を醸し出す鏡面部品ですが、キラキラであるが故に、表面の欠陥検査がしづらいという欠点を持っているのです。その点を解決しようと、検査設備の改良に取り組むのが章先生。先生が考案したのは、キラキラ部品の表面に「シマシマの光をあてる」という解決策です。

鏡面部品に縞状の光をあて、縞模様がゆがんでいないか解析する

鏡のようにきらめく部品は、車の装飾品として欠かせません。しかしキラキラなので光の反射が強く、また周囲の風景が映り込むため、表面にゆがみなどの欠陥があっても見つけづらくなってしまいます。こうした鏡面部品の表面検査を行うシステムづくりに、私は長く取り組んできました。
最初に考案した設備は、4つの光源を使い、順番に点灯させて4枚の画像を取得し、反射した部分を削除して1枚の画像に合成。その画像から欠陥を検出するものです。特許も取得したのですが、このやり方だと光源点灯に時間がかかり、また機構も複雑なものになります。
そこで、検査部品を回転させてみようと思いつきました。光源にも一工夫を加え、シマシマにしてみることにしました。
部品に対し上から縞状の光を投影。そのまま部品を360度回転させます。一連の様子をパソコンに取り込み、部品形状に映った縞状の模様を確認するのです。もし表面に欠陥があると、縞状の模様にゆがみが発生します。このゆがみをAIに自動検知させれば、検査の手間は大幅に削減できます。さまざまな部品の縞状画像を取得し、AIに学習させていけば、検査の精度はどんどん向上するでしょう。

鏡面部品の検査装置。
写真下部に試験用の部品が
装着されています。
そこに上部の四角い光源から
縞状の光をあて、
さらに上にあるカメラで撮影します

製品検査員の技能を科学的に評価するシステムも開発

検査装置を導入していない中小の工場では、大量の人員による目視検査が中心となっています。しかし検査員の技量に差があり、検査にばらつきが出てしまいます。この問題を解消するため、検査員の技能を科学評価するシステムの開発も進めています。
従来、検査員の技能評価は職場の上司の役割でした。しかし先入観が邪魔して、情緒的判断になってしまいかねません。そうではなく、判定は全てAIで行うのです。
まず、いろんなサイズの欠陥がある試験用部品を用意し、検査員に検査してもらいます。単に正常か欠陥品か、だけを見るのではなく、検査員の判断にかかる時間も測定するのです。判定時間の長さと実際の合否の結果から、検査員の能力がかなり正確に割り出せます。
検査員の能力が分かれば、どういった業務に従事させると良いか、上司が役割を決めやすくなります。検査員の評価は上司にとっても心理的負担が大きい業務ですが、AIに担わせることで、負担を軽減し、かつ納得度の高い評価が実施できるようになります
また経験の浅い検査員をスキルアップするために、どういった技能を習得させれば良いか、といった効果的な研修プランの策定にも貢献するでしょう。

装置で撮影した部品画像を
パソコンに取り込み、
縞状模様の中にゆがみがないか解析します

ドライバーのクセや個性まで反映した支援システム

自動車のドライバー支援システムの研究も行っています。自動運転に完全に任せるのではなく、運転する楽しさを味わいたいというドライバーも大勢います。そのようなドライバーの個性やクセを捉え、そのドライバーに合った運転支援をAIで提供しよう、というのです。
ドライバーが何らかの行動を起こす際、その予兆が発生します。例えば居眠り運転しそうになる前には、あくびを連発する、など。こういったドライバーのクセを車内カメラで蓄積。行動パターンを学習したAIが、それに応じた支援を提供する、というのがシステムの概要です。現在はドライブシミュレータを用いて、動作や顔の表情の変化から予兆を捉えようと研究しています。
ロボットのインターフェースに関するテーマもあります。人間とコミュニケーションを行うロボットは数多く実用化されていますが、これらは3つ以上の集音マイクを備えています。しかし人間の耳は2つなので、ロボットの耳も2つでなんとかなるのではないか。そう考えて始めたものの、複数の音声や室内の残響もある中で、ロボット自身が必要とする音声だけを拾うのは、とても困難だと実感しました。もう少し実験を重ね、実現に近づきたいですね。