©Hiroshima Institute of Technology. All Rights Reserved.

機械システム工学科

福島 千晴

教員紹介

福島 千晴FUKUSHIMA Chiharu

工学部 機械システム工学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○流体工学
○乱流
○成層流体
○渦構造
○混合・拡散
○乱流計測
【担当科目】
流れの力学A・B 、 流体機械
【研究テーマ】
1.成層流体中の渦構造と流れの混合・拡散に関する研究
2.衝突水噴流(ウォータージェット)の流動特性に関する研究
3.はく離を伴う複雑流れの構造と制御に関する研究
【ひとこと】

自分の限界に挑戦してください!
達成感・充実感を堪能できるように一緒にがんばっていきましょう。

研究紹介

福島 千晴FUKUSHIMA Chiharu

工学部 機械システム工学科 教授

一見、気まぐれな『流れ』の謎を解き明かし、
地球環境の改善に役立てたい
PROLOGUE

球技に使われるボールは、大きさや形状・材質も様々ですが、ゴルフボールの特徴をご存知でしょうか?ゴルフボールの特徴は、表面にディンプル(浅いくぼみ)がついていること。デコボコのないツルツルの表面の方が空気抵抗は小さくなる...と思えますが、くぼみをつけることで逆に抵抗を減少(専門的には境界層制御による、はく離の制御)させ、飛距離アップにつなげているのです。こうだろう、と思ってもその通りにならない。水や空気などの「流れ」の予測は本当に難しいもの。その謎に挑戦しているのが、福島先生です。

温度が高い水は上に、低い水は下に行き、簡単には混ざり合わない

水にも空気にも「流れ」があります。さわやかな風も川のせせらぎも、全ては流れの現象です。人が歩いてどこかに移動するだけでも、周囲の空気には流れが起こります。これほど身近なものなのに、流れについてわかってないことが多いのです。
私が取り組んでいるのは、『成層流体』と呼ばれる流体の謎の解明と、その制御法です。例えばお風呂で追い炊きをするとき、放っておくと「上は熱いお湯だけど下は冷たい水のまま」だった、という経験はありませんか?同じ水なのに、温度の高い層は上に行き、低い層は下に行き、互いに混ざり合わない。このような状態が安定な成層流体。密度が関係しており、密度が小さいものは上に、大きいものは下に行きます。
この成層流体が、環境悪化の原因となる場合があります。例えば淡水と海水がぶつかる河口では、互いの温度や密度に差があるため、成層流体になることがあるのです。こうなると、川の水に含まれるさまざまな物質は、成層の一部(たいていは下の方)に溜まり、海に拡散しません。どんどん溜まっていくと、ヘドロや赤潮の発生要因になることがあり、環境に負荷を与えてしまうのです。池や湖でも、また大気でも同様の現象が起こります。

ゴルフボールの表面。
浅いくぼみが空気抵抗を減少させる

安定な『成層流体』を混ざり合わせるのは、とても難しい

これを解決するには、成層流体が混ざり合えばいいのです。滞ると環境を悪化させる物質も、拡散すれば大部分が問題になりません。どうやれば成層流体に乱れが生じ、混ざり合うか。それを私は研究しています。
お風呂なら、桶でかき混ぜればいい。しかし河口や湖といった大規模な場所では、技術やコストの問題でそんな方法がとれません。もっと簡単なものはないか、と着目したのが「成層流体に円柱を入れ、一定速度で回転させる」方法です。
流体に円柱を立て、側面から観察すると、渦が左右に互い違いに出ていきます。『カルマン渦』と呼ばれる、よく知られた現象です。物体に流れがあたっても、あるいは静止した流体中で物体が移動しても渦が発生します。
そこで、円柱自体を回転させると、成層流体の各層、渦が生じるのです。連続的に回転させると、渦はやがて流れに変わります。成層内の密度も変わるようです。流れと密度変化の同時観察から、特異な層構造のパターンが形成され「混ざり合う」兆候を示すことはわかりました。
流れの現象を理解しながら制御を行う。より良い結果を得るために、円柱の回転速度や周期、成層の状態を変えながら研究を進めています。

カルマンの渦
流れと密度の変化を同時撮影

水で物体を切削する『ウォータージェット加工』の研究も

もう一つ、「流れを利用して物を切る・削る」研究も行っています。『ウォータージェット加工』と呼ばれるもので、0.1~1mmの細いノズルから、加圧した水を噴出し、物体を切削するのです。その圧力は300MPa(メガパスカル)で、大気圧(0.1MPa)の3000倍にも及びます。ウォータージェット加工の利点は、使用するものが水なので環境負荷が低く、硬い物でも柔らかい物でも切削できること。切削箇所が高温にならないので、熱に弱い物質も問題ありません。
船舶や建物など巨大建造物における部材表面のコーティングだけを剥がしたい、もとの部材は再利用したいという時にも、ウォータージェット加工が便利。圧力を調整すれば、部材は傷つけず、コーティングだけを削ることができます。
加工を行う場合、さまざまなパラメータがありますが、その中でもノズルは重要です。ノズル形状の違いによって、どんな流れが生まれ、どのような効果をもたらすか。流体工学の立場から、こういった研究にも取り組んでいます。
いずれの研究においても感じるのが、「流れは一見、気まぐれ」ということ。決して人間の思うようには動いてくれません。研究を深め、効果的な流れの制御法を見出していきます。

ウォータージェット加工機を使えば、
自転車のような複雑な彫刻?もできます。
加工された自転車