広島工業大学

  1. 大学紹介
  2. 学部・大学院
  3. キャンパスライフ
  4. 就職・資格
  5. イベント情報
  6. SNS一覧
  7. 施設紹介
  8. 2024年度以前入学生の学部・学科はこちら→

広島工業大学

建築デザイン学科

平田 欽也

教員紹介

平田 欽也HIRATA Kinya

環境学部 建築デザイン学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○建築設計
【担当科目】
施設計画A/B 、 住居デザイン実習A/B 、 建築デザイン実習A/B
【研究テーマ】
1.建築に求められる空間や機能は、その時代の社会を反映しながら、建築技術の進歩に支えられて展開してきました。人と建築との関係も、生活の変容や多様な価値観により変化し続けています。新たな建築空間を追い求めながら、変わらないもの(建築が人にもたらす大切なもの)を見つけ出し、建築設計を実践的に研究して行きたいと考えています。
【ひとこと】

生まれ育った古里の風景を懐かしく想うように、生まれ育った住まいの記憶も心の中にあるものです。建築は人々の暮らしを機能的に支えるという目的でつくられますが、同時に人は感動したり、安らぎを感じたり、そこで過ごした記憶が心の中に刻まれて行きます。人々の心に残る建築を一緒に考えてみませんか。

研究紹介

平田 欽也HIRATA Kinya

環境学部 建築デザイン学科 教授

ビル・住居のリノベーションによって、
地域の活力は再生する
PROLOGUE

少子化により噴出してきた社会問題の一つが“空家問題”。高齢によって住む人が不在となった空家は、年々増加しています。古くて機能性も悪く、耐震面にも不安があるため、後を継ぐ入居者がなく放置された空家が増えると、街が活力を失ってしまいます。その空家を「魅力的な物件」に生まれ変わらせることができないか、と住宅やビルの再生に取り組んでいるのが平田先生。建築家として、多くの住宅・ビルの設計・再生を手がけた経験の持ち主です。

喜らしが変われば、建築物も変わる必要がある

住まいを建てる時、どんな家にしたいですか。「子どもは2人欲しいので、子ども部屋を2つ」「家族で楽しめるよう、リビングは広め」といった感じでしょうか。そういった希望を住まいに反映するのは、間違いではありません。
しかし、一つの住まいに長く暮らす間に、いろんな出来事があります。子どもが成長し家を出ていくことを考えると、子ども部屋が必要なのはほんの数年かもしれません。暮らしぶりは変わったのに住まいが建てた時のままでは、使い勝手が悪いでしょう。耐震性などが新しい時代の基準に合わなくなる可能性もあります。
だからリノベーションが大事なのです。古い建物を安全性や機能性などあらゆる面で見直し、価値を付加すれば、住まいは魅力的に生まれ変わります。価格は新築より安いため、若い世代でも購入しやすくなります。空家になるはずだった住宅に次の世代が入居すれば、街が活性化します。良質な住まいの蓄積は、街にとっても魅力的な資産となるのです。

先生の手がけた「テラスコート牛田旭」。
周囲の住宅と調和を図りながら
「コミュニティー形成促進型テラスハウス」
という住まい方を提案。
2018年「第16回ひろしま街づくりデザイン賞 奨励賞」を受賞

リノベーションやコンバージョンで、街の魅力を創造

一般に「リフォーム」という言葉が普及していますが、リフォームとは「元に戻す」こと。私が注力しているのは、今の人々のライフスタイルに合わせて間取りを変更したり、安全性を高めて価値をアップさせる「リノベーション」です。また周囲の環境変化に合わせ、オフィスビルを住宅として再生するなど、建物の用途自体を変更する「コンバージョン」を手がけるケースもあります。
最近は、街全体の再生を考える機会も増えてきました。以前は、廿日市市の住宅施策を策定する、廿日市市住生活基本計画策定委員を務めていました。リノベーションやコンバージョンなどの手法で住まいに価値を付加すれば、地域再生や賑わい創出にも活かせると思います。
廿日市でも広島工大周辺でも、空家の増えた団地があります。団地によっては空家率が20%に達するそうです。解決にはいろんな方面からのアプローチが必要ですが、私の立場で言うと、やはり魅力づくりが重要です。リノベーション、コンバージョンで利便性と安全性を向上させた住まいを、購入しやすい価格で提供する、というエ夫の積み重ねが大事ではないでしょうか。

2018年、広島市で開かれた
「リフォーム フェア」に
セミナー講師として参加し、
実際に手がけた事例を紹介。

不人気の1階をガレージハウスにしたら、入居希望者が殺到

写真は私が手掛けた「ネオアレス翠町」という集合住宅です。もとは1階が店舗で、2階以上が3DK賃貸住宅でした。しかし約40年が経過して老朽化が進み、空室が目立ってきました。ビル前の人通りもすっかり変貌し、店舗も集客は望めません。
そこで私は、大胆なリノベーションを行ったのです。耐震・断熱などの改修をした上で、2階以上は1LDKに変更。そして1階は、ガレージと住宅を一体化したガレージハウスにしました。すると、車好きの方から応募が殺到したんです。居室のどこからでも愛車が見え、時間があれば愛車のメンテナンスに没頭できる空間は、クルマ好きの方にとって至上の住まいなのです。しかしながら、そういうニーズを満たす住まいはほとんどありません。一般に、集合住宅の1階はセキュリティなどの面から不人気と言われます。しかし視点を変えれば、魅力的に生まれ変わるのです。
私は、日本の代表的な現代建築家である清家清氏に師事し、教えを受け継いで自らの建築に反映してきました。清家先生が度々「建築本体よりも、その中で人がどんな暮らしを行っているか考えることが大事」と語っていたことを今も思い出します。地域の活性化に貢献できる建築とは何か、本質を見据え学生たちと考えていきます。

築40年の店舗兼集合住宅をリノベーション。
「ひろしま住まいづくりコンクール2017最優秀賞」を受賞した「ネオアレス翠町」。
1階は車庫と住居をくっつけた
ガレージハウスに。
するとスーパーカーなどを保有するカーマニアが「ぜひ入居したい」と殺到。
居室から車を眺められる空間が
人気の秘密です。