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地域の防災意識の向上に貢献。学生が制作した3D プロジェクションマッピングを披露

2023.05.02

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本学は地域における防災・減災を目指して、技術開発や情報発信などの研究活動や教育普及の推進をサポートする『地域防災減災教育研究推進センター』を設置しています。同センターが開講した防災士養成講座を通じて防災士を取得した学生の有志が集い誕生した自主防災団体『学生防災士会』には、防災士の資格を取得、または取得を志す本学の学生有志が所属しています。
同会メンバーは河内地区を対象に、地域の防災・減災に役立つ3D プロジェクションマッピングを制作。河内地区自主防災会の方々を招き、シミュレーションをしました。

立体のハザードマップに時間ごとの土石流状況を可視化した土石流シミュレーションを投影する

立体のハザードマップに時間ごとの土石流状況を可視化した土石流シミュレーションを投影する

学生防災士会は4月に行われた地域の防災・減災について考える協議会で、初めて3D プロジェクションマッピングを披露しました。その際にいただいた要望に応えてバージョンアップしたのが、今回のマップです。
変更点は大きく2つ。
1つは地形模型の大きさを40cm×30cmから180cm×170cmに拡大し、縮尺も1/2000から1/500に変更しました。主要な建物も配置され、より臨場感があるマップになりました。
もう1つはシミュレーションの精度を上げました。今回は現地調査を行い、そこで得られた解析結果を踏まえてシミュレーションをしたため、より地域の特徴を反映したものになりました。

調査した河内小学校裏山、砂防堰堤付近(光東寺)、砂防堰堤付近(セコム・インターナショナル付近)の3カ所のシミュレーションを披露

調査した河内小学校裏山、砂防堰堤付近(光東寺)、砂防堰堤付近(セコム・インターナショナル付近)の3カ所のシミュレーションを披露

参加者からは「臨場感があり、より細かい被害場所が分かる」「早めに避難するという意識づけに役立つ」と好評だった

参加者からは「臨場感があり、より細かい被害場所が分かる」「早めに避難するという意識づけに役立つ」と好評だった

シミュレーションの後は2グループに分かれ、グループワークを行いました。
2種類のワークを用意し、それぞれ指定された家からの避難経路や避難場所の策定を行いました。1つのワークにつき10分間話し合い、それぞれの協議が終わったところで、全体発表を行いました。

どの道を通れば土石流の被害を受けずに避難できるのかを真剣に話し合う

どの道を通れば土石流の被害を受けずに避難できるのかを真剣に話し合う

終了後もマップ付近に集まり、より使い勝手の良いマップにする方法が話し合われた

終了後もマップ付近に集まり、より使い勝手の良いマップにする方法が話し合われた

学生防災士会リーダーの小出さん(大分県立大分舞鶴高等学校出身/大分県)に話を聞きました。「夏が終わるころから制作を始め、途中何度も本当に必要なのかと不安になることもありました。今日は皆さんから『すごく役立つ』と言っていただけて、やって良かったと実感しています」。

「プロジェクトを引き継ぐ2年生にも、この感動を味わってもらいたい」と小出さん。来年度の活動への協力を仰ぐ

「プロジェクトを引き継ぐ2年生にも、この感動を味わってもらいたい」と小出さん。来年度の活動への協力を仰ぐ

学生の活動をサポートした田中教授(地球環境学科)は、今回の取り組みを振り返り「こうして地域に披露することで、我々が思いもしなかった場所での災害情報が得られたりもしました。住民の声を反映すれば、マップの精度も上がります。今回は自主防災会の方々とのディスカッションでしたが、地域住民との意見交換会なども開くと、また違った意見が期待できるかもしれません。他の地域にも展開したり、市の危機管理課などと連携したりなどできることはたくさんありそうです」と話していました。

「学生が活動しやすい環境も整えていきたい」と田中教授

「学生が活動しやすい環境も整えていきたい」と田中教授

学生たちは今回のプロジェクトを進行するにあたり、Excelを用いて模型作成の進捗状況をメンバーで共有したり、毎週水曜日の午後に活動時間を確保し話し合いを重ねるなど、工夫を凝らし活動してきました。
それらもまた彼らにとってかけがえのない経験になったと思います。
来年度の学生防災士会の活動も期待しています。

※新型コロナウイルス感染症対策を講じ、取材・撮影を行っています。