電気システム工学科
小河原 加久治
教員紹介

プロフィール
- 【専門分野】
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○計測情報工学
○制御工学
○流体工学
- 【担当科目】
- 制御工学I 、 制御工学II 、 情報数理 、 信号処理 、 専門ゼミナールA・B 、 電気応用実験C 、 プログラム実践応用 、 PBL基礎実習
- 【研究テーマ】
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1.プラズマアクチュエータによる流れ制御
2.小型無人航空機(ドローン)の飛行制御
3.流れの数値シミュレーション
4.IoT機器による分散システムの制御
- 【ひとこと】
みなさんの身の回りの電気製品はWifiを使って無線で操作できるモノが増えてきました。 また、人工知能(AI)の急速な進歩・実用化に伴い、自動車を含めたあらゆるモノが自動化の方向に向かっています。 みなさんのアイデア次第で、いろいろなモノがネットワークにつながって自動化され、日々の生活をより豊かなもの変えてくれるかもしれません。 これらを成し遂げるのは非常に難しいことに感じるかもしれませんが、実はAIの進歩で基礎さえしっかり身に着けていれば、難しい部分は機械がやってくれるのです。 みなさんに必要なのは機械と対話するための工学的な基礎力です。 さあ、勇気を出して一歩踏み出しましょう。
研究紹介
小河原 加久治OGAWARA Kakuji
工学部 電気システム工学科 教授
ドローンやロボットなど「動くもの」を計測して制御し、自律的な動作を実現
PROLOGUE
一糸乱れぬ動きで空に模様を描き出すドローン。いくつもの台数が、ぶつかり合うこともなく地上を進むロボット。これらは人間が遠隔操作しているわけではなく、それぞれ自律的に動いています。なのにぶつかったりしないのは、各機体に搭載したカメラ、あるいは動き回る場所全体を映し出すカメラの映像から自分と他機の位置を特定しているから。こういった「動くものの計測制御」を研究しているのか小河原先生。先生はドローンや飛行機などで得た知識を基盤に、さまざまな「動くもの」の研究に取り組んでいます。
固定翼型ドローンを安全に着陸させるには
ドローンには、複数のプロペラを持つマルチコプターだけでなく、飛行機のような翼を持った固定翼型もあります。固定翼型はエネルギー効率が良く、遠くまで飛ばせるため、遠隔地で起こった自然災害の状況を調べる、といった用途に最適なのです。
しかし固定翼型の大きな課題が「どう回収するか」。固定翼型は翼を含めると2m程度の大きさである為、他のドローンを使って回収するには30m程度の滑走路が必要です。地上にワイヤーを置いて降りて来た機体を引っ掛ける、という方法もありますが、それも特別な設備が必要。安全に機体を回収できないと、思わぬ事故につながりかねません。
そこで私たちは「ぐるぐる旋回しながら着陸させる方法」を考案しました。ドローンに搭載された複数のカメラで機体位置や周辺環境などの情報を収集。その情報を基に、ドローンが着陸場所に来ると、自律的に機体を旋回させます。周囲に障害物があっても、ぶつかることはありません。バスケットボールのセンターサークル程度の大きさを旋回しながら、やがて地上に到達するのです。これは「フラットスピン着陸」と呼ばれ、私たちはより小さな半径で着陸できるようにしました。
この方法なら、駐車場のような場所でもドローンを着陸させられますし、特別な設備も不要。フラットスピン着陸の様子をアメリカの航空宇宙学会などで発表すると、「これで着陸できるのか」とすごく驚かれました。
市販のロボットとスマホアプリで、計測制御の基礎を学ぶ
フラットスピン着陸は前任校で行っていた研究なのですが、広工大では主に「地上ロボットの自律的制御に取り組みたい」と考えています。空と陸で動く場所は違っても、搭載された制御用機器は同じです。機体位置を計測し、壁や他機にぶつからず自律的に動作するためのプログラムを組むという点でも全く同じで、学生が研究を進める際の良いとっかかりになるのです。
ロボット一台を動かすだけでも、自律的制御は簡単ではありません。ロボットを複数台用意し、一つの群として動かすとなると、なおさらです。学生には市販ロボットを使い、スマホなどにアプリを入れ、パソコンを持ち込んで制御するという簡易な手法で研究させたいと考えています。高価な専用機器でなくとも、計測制御や動きの連携は可能だという体験を積ませたいのです。
自分で制御用のプログラムを組んで、ロボットを走らせる。それを実行できるようになるだけでも、学生には数カ月かかるのではないか、と思います。いずれはゼミ室のどこかに簡易なサーキットを用意し、学生がプログラムした機体でタイムレースをやってみたいですね。壁にぶつからずにコースを何秒で周回できるか競い合う、という。それだけでも学生は苦労するでしょう。しかし経験した分、自信にもなるはずです。
計測制御を学びます
飛行機の円滑なフライトをサポートするプラズマアクチュエータ
もう一つのテーマに「プラズマアクチュエータ」があります。これは、固定翼型ドローンの翼に取り付けることを想定した機器です。飛行機の主翼端にある補助翼(エルロン)では、飛行中、翼の表面を流れる空気がエルロンから離れてしまう「流れの剥離」が発生します。流れが剥離すると揚力が失われて空気抵抗が増加し、姿勢制御が難しくなります。この流れの剥離を抑制するため、プラズマアクチュエータの活用が検討されているのです。
プラズマアクチュエータを構成するのは、電極と誘電体のみ。軽量のため、エルロンに負荷をかけることなく取付可能です。固定翼型ドローンにプラズマアクチュエータを搭載して稼働させる、というシミュレーションをコンピュータで行ってみたところ、エルロン付近の流れの剥離が抑制され、空気の流れがきれいになる効果が確認されました。しかし使えるかどうかは、実機に載せてみないとわかりません。実機に搭載する場合、デバイスの耐久性の問題も出てきます。耐久性を上げるためデバイスを頑丈にすると、重くなって翼に負荷をかけます。プラズマアクチュエータについては多くの研究者が長く取り組んでいますが、なかなか実用化に至りません。それだけ課題が多いのです。
ですが私自身が様々なテーマに積極的にチャレンジすることで、学生の基礎能力向上にも貢献したいと思っています。
動作していない時、
エルロンに「流れの剥離」が現れています
「流れの剥離」が抑制され、
空気の流れがきれいになります