広島工業大学

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広島工業大学

電気システム工学科

田中 俊彦

教員紹介

田中 俊彦TANAKA Toshihiko

工学部 電気システム工学科 教授

研究紹介

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○連系インバータを用いた電力品質保証
【担当科目】
電気電子計測 、 パワーエレクトロニクス 、 電気電子材料 、 電気応用実験
【研究テーマ】
1.電力品質機能を有する電気自動車用双方向チャージャの新制御法
2.SiC-MOSFET 高周波インバータを用いた誘導加熱方式微小金属検出装置
【ひとこと】

大学 3 年次までこれと言って進みたい分野がありませんでした。3 年次にサイリスタインバータを学生実験で知り、このサイリスタに心を奪われました。それ以来、パワーエレクトロニクスが専門です。学生時代に、心が奪われるようことを見つけ、生涯続けてください。

研究紹介

田中 俊彦TANAKA Toshihiko

工学部 電気システム工学科 教授

電気には「きれいな電気」と「汚れた電気」がある?
PROLOGUE

普段、私たちが何気なく使っている電気,しかしその電気にも、「品質の良いきれいな電気」と、「品質の悪い電気」がある、ということを知っている人はほとんどいないと思います。電力の品質が良好でないと、電力の安定的な供給に支障をきたすばかりでなく、電気を使う様々な機器が誤動作するかもしれません。そういった電力品質保証を中心として、家庭用電源としてのEV(電気自動車)の活用法など、様々なテーマに取り組んでいるのが田中先生です。

電気の品質が悪くなると、電子機器が誤動作する可能性がある

発電所で発生した電力は、送電線や変電施設を経て、電柱の柱部に設置された柱上変圧器まで到達します。ここに来た時の電圧は6,6 kVボルト。これを柱上変圧器で100 Vまたは 200V まで落とし、各家庭へと供給されるのです。
電力会社から送られてきた電力は、「きれい」な状態をしています。この電圧を調べると、高校で学んだ三角関数の sin 波形となっています。これが「きれい」な電気です。この電気は使用されるうちに、波形がどんどん歪んでいきます。これが「汚れた」状態です。電力が家庭で「汚く」なる最大の要因は、半導体の一種であるダイオードを用いて交流から直流に換える整流回路という装置です。現在、家庭では電力会社から送られてくる交流電圧をそのまま交流で使用する家電機器は少なく、多くの場合は整流回路で直流に変換してから使用しています。例えば、エアコンは家庭に届いた交流を一度直流にして、その後インバータを用いて周波数と電圧を自由に制御できる交流に変換してモータを駆動し空調を行っています。この整流回路が、高調波電流という「汚れた電気」を発生させ、電力の品質を悪化させます。電力品質が落ちた状態では安定な電力供給の障害となるため、「きれい」な状態に戻さなければなりません。この役割は電力会社が担っていますが、大変な手間とコストがかかります。ならば、各家庭に電力品質を維持する装置を置き、きれいな電気を保つようにすればよいのです。

電力会社から送られてくる電力は、
ホワイトボードの図のような
きれいな形をしています

EVの双方向バッテリチャージャを、電力品質保証に活用

ここで活用できそうなのが、EV用双方向バッテリチャージャです。双方向に電力を運ぶため、電力会社から受け取った電力で EV内のバッテリを充電し、さらに充電した電力を電力網へ供給することができます。その際、EV用双方向バッテリチャージャに電力品質を保証する機能を付加すれば,各家庭で「汚い電気」を「きれいな電気」に変換することができるというわけです。つまり、高校時代に数学で習ったsin関数で表されるきれいな電圧・電流波形にすることができます。
EVについては、別の研究も行っています。料金の安い夜間電力をEVのバッテリに貯めておき、昼間はEVの電力を家庭用で消費します。電力網に戻して売電することもできますが、今は売電価格が安く、売れば売るほど損をする状況です。そこで、一切電力網に戻さない、といった制御法に取り組んだのです。安い夜間電力を昼間に自家消費すれば、昼間の電力を使う必要がなくなります。つまり、夜間と昼間の電力料金の差額分だけ、利益が出るわけです。これも実験してみたところ、電力品質の高い電力が得られることも確認できました。

電力品質保証機能を有する
Vehicle-to-Gridの実験装置の写真

冷蔵庫をEVのバッテリにつなげないのはなぜ?

近年、大規模自然災害が多く発生しています。自宅の損壊が免れても避難所で生活しなければなりません。これは、大規模自然災害が停電を引き起こすからです。こうした状況も踏まえて、2025年4月から新しい研究に取り組んでいます。それは、「家庭用冷蔵庫をEVバッテリで使用する方法」です。最新のハイブリッド電気自動車 (HEV) には、100 V,1.5 kW のコンセントがついており、一般家庭ではHEVから5日間は電力を供給できるそうです。この100 V,1.5 kW のコンセントを用いれば、震災による生活の困窮を免れることができるかもしれません。冷蔵庫が使えれば、暑い夏でも食品を腐敗させずに済み、災害時の緊急生活の質を向上できます。
ところが、HEV に用意されている100 V,1.5 kW のコンセントには冷蔵庫をつなぐことができません。なぜつなげないのか?中型以上の冷蔵庫にはインバータという、交流を直流に換えるダイオード整流回路が用いられた装置が入っています。
このダイオード整流回路が、電源接続時にほんの0.2秒ほど「突入電流」という通常使用状態の10倍以上の大電流を発生させてしまいます。この突入電流がHEV に用意されている100 V,1.5 kW コンセント内の電子回路を損傷させてしまうのです。突入電流を回避できれば、HEV車に用意されたコンセントで冷蔵庫が使用できます。そこで、抵抗とスイッチを組み合わせた非常にシンプルな突入電流抑制装置を開発しました。開発した突入電流抑制装置を組み合わせた実験により、HEV に用意されている100 V,1.5 kW のコンセントでの冷蔵庫使用のメドが立ちました。次はエアコンです。冷蔵庫以上に難関でしたが、何とか使用できることを実験により確認できました。
これらの成果は、日本の電気学会のみならず IEEE (米国電気電子学会) で発表し、国際的な視野から研究を進めていきます。

電気学会などから
数々の賞も受賞しています。