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建築デザイン学科

平田 圭子

教員紹介

平田 圭子HIRATA Keiko

環境学部 建築デザイン学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○インテリア計画・建築計画
【担当科目】
インテリア計画 、 デザインスタディC/D 、 デザインスタジオ 、 専門ゼミナールA/B 、 居住環境計画(大学院) 、 居住環境システム(大学院)ほか
【研究テーマ】
1.居住環境の再生計画についての研究
2.庭の居住性の計画についての研究
3.居住環境の仕切りについての研究
4.尾道市の住まいについての研究
【ひとこと】

人を取り巻く居住環境(住まいはもとより、大型商業施設~細街路まで)について、色々な視点から読み解き人の知恵に触れるのは楽しいです。場を体験し、人の話を聞き、本を読み、自分を育ててください。

研究紹介

平田 圭子HIRATA Keiko

環境学部 建築デザイン学科 教授

本来のインテリアが目指すのは、
「心に染み入るヒューマンスペース」
PROLOGUE

お気に入りの家具を揃えたり、同じ系統の色で部屋の統一感を出したり、インテリアにはこだわりたいですよね。いつも過ごす空間ですから、壁紙や小物だって妥協したくないのは当然です。でもちょっと待って。インテリアと聞いた時、“自分の部屋”や“家の中”を想像しませんか?それは少し見方が狭いかも。「“インテリア”が示す空間は“建物の内部”だけではありません。“人間の心に染み入るヒューマンスペース”だと私は考えます」と平田先生は言います。

建物の内部空間だけが「インテリア」ではない

「インテリア」の語源は、ラテン語のinteriorであり、「内部の」とか「さらに内にあるもの」という意味です。決して建物の内部空間や、そこに置かれた家具・調度品だけを指すのではなく、「人間の心に迫ってくるもの」までを含んだ概念なのです。
例えばデンマークのルイジアナ美術館では、全面ガラスの前にジャコメッティの歩く人の像が置かれています。ガラスの向こうには外の風景が広がり、冬には「厳しく荒涼とした寒さの中を歩く人」というシーンが浮かんできます。ところが季節が春を迎えると「穏やかな日だまりの中を歩く人」という風にイメージが変わります。「外の自然」と「中の像」が一体となって空間を作り出して見る人の心を揺さぶります。
別の事例では、パリの家具ショップがあります。店内と道路はガラスで仕切られているのですが、開口部が広いため店の奥まで見えて、道路を歩いているのに店内にいるんじゃないか、と錯覚するほどです。これは店内の領域が道路まで広がって、街並みを豊かにし、歩く人の心も楽しくさせているケースです。
これらの例からわかるのは、「インテリア」とは単純に内・外を切り分けるものではない、ということ。心に染み入るヒューマンスケールは、内と外が関連していたり、さらに外だけでも存在していたりするのです。

ルイジアナ美術館
ジャコメッティの歩く人の像。
内にある像と外の風景が一体となって、
一つの空間を形成
道路の外まで飛び出して
きたかのような家具ショップ

国外からも見学者が来る、兵庫県の三田グリーンネットの「オープンガーデン」

兵庫県三田市と神戸市を中心に活動している三田グリーンネットでは、50軒以上の個人宅で庭づくりがされているのですが、これが評判を呼んでいます。年に2日だけチャリティで「自由に庭を見に来てください」というオープンガーデンの日を設けたところ、国外からも見学者が来るほどの盛況ぶりなのです。
住民の方々は、専門家でも何でもなく、自分で色々な方法で学んで自分の好みで自分の居心地が良いように勝手にやっているだけ。しかしこれが個性的で「居住性を持ったヒューマンスケールの空間」になっているのです。例えば、ベンチとテーブルを置き、ストーブを置いて、リビングダイニングのような庭にしたり、植栽で動線を作り、奥に舞台を配して、ミニコンサートができるようにしたり。洗濯物を干すだけ・車を停めるだけの庭ではない、人の息遣いや価値観があります。
しかもこれらの庭は、時々刻々と変わるんです。子どもが小さい時は、庭で走り回れるように。子どもが巣立った後は、お茶を飲んだり、読書や工作をしたり、庭で夫婦が暮らしを楽しむ…という具合に。
行政やハウスメーカーに言われたわけでもなく、住む人々の思いからスタートし、互いに影響を受けながら行っているオープンガーデン。「居心地が良い空間を表現している」という意味では、これも「インテリア」でしょう。

庭の中にリビングダイニング
のような空間を設置
ミニステージを設置した庭

地域の人々や企業・行政と連携し、さまざまな住宅・店舗・街路の活性化計画に参加

ゼミでは地域の人々や企業・行政と連携し、住宅・店舗等の再生計画や庭・街路空間の活用計画など、さまざまな「心に染み入る空間づくり」に関わっています。
例えば、広島工大がある佐伯区のコイン通りのまちづくりイベントに参加。イベント用の大幟を、コイン通りに関わるキーワードにちなんで金箔で制作したり、街のキャラクターを決める公開投票を実施したりするなど、いろんな形で盛り上げました。
またその昔旅人が無事を祈って宮島の砂を持ち帰った習わしにちなんで、大聖院というお寺で祈祷してもらった宮島の砂を「守り砂」としてお参りにきた人に提供したい、という思いから、産(企業)・学(広島工大)・観(大聖院)で協力して、守り砂のデザインづくりに参加したり。地元の臼山八幡神社にあった樹齢350年の御神木が、倒木の危険があるため伐採された時、御神木を地域住民の協力を得て風鈴として再利用し展示するという活動にも参加しました。
こうした経験を通じ、学生には「システムデザイン(仕組みの設計)」を学んでほしいと思っています。どのように関係者と意見を交わし、アイデアを出し合い、合意形成するか。そして役割を分担し、計画を実行する…一連の仕組みづくりを行うのは大変ですが、だからこそ学生にとって収穫は多いはずです。今後も地域の活動に参加することで、研究成果を還元していきたいと思います。

佐伯区のコイン通りのイベント用に制作した、
コイン通りの金箔貼りの大幟
宮島の守り砂を制作する際の打ち合わせ風景
臼山八幡神社の御神木で地域住民と風鈴を制作