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広島工業大学

食健康科学科

十川 千春

教員紹介

十川 千春SOGAWA Chiharu

環境学部 食健康科学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○薬理学
○神経薬理学
○生化学
○腫瘍学
【担当科目】
生理学 、 生化学 、 免疫学 、 薬理学 、 基礎医学実習 、 生命倫理 、 医用工学演習 、 臨床工学演習
【研究テーマ】
1.生体環境を再現できる三次元培養技術の開発
2.医薬品再配置による新規鎮痛薬、新規抗がん薬の開発
3.ストレス負荷に対する生体の応答と防御機構に関する研究
【ひとこと】

広島工業大学の広々とした環境の中でのびのびと、できるだけ多くのことにチャレンジし、知識と経験を得てほしいと思います。チャンスは無限に広がっています。

研究紹介

十川 千春SOGAWA Chiharu

環境学部 食健康科学科 教授

薬の効能は一つじゃない。
安全性の確立した既存薬を、がん治療に役立てる
PROLOGUE

病気になったら、医師の診断を受け、薬を処方してもらうでしょう。複数の診療科目で通院している場合、服用する薬の種類も増えてしまいがちですよね。世の中にはさまざまな薬がありますが、「この薬はこの病気専用」と思っていませんか?十川先生は「実は、ある病気の治療のために開発された薬が、別の病気に効果を発揮するということは、珍しくないのです」と話します。先生は既存薬の新たな活用法をはじめ、医療機器の評価、医薬情報を利用しやすく整理する方法など、医療に関するさまざまな研究に取り組んでいます。

てんかんの薬や鎮痛薬が、抗がん剤として働くこともある

臨床現場では、いろんな薬が治療に利用されています。それらの中には、本来のターゲットでない、別の病気にも効果を発揮するものが結構あるのです。例えばてんかんの薬が鎮痛薬として働いたり、パーキンソン病のために開発された薬が、がん細胞の増殖を抑制した例もあります。
新薬開発には莫大な時間がかかります。一方、既存薬なら安全性は既に保証済み。病気への効能さえ確認できれば、承認に必要な数々のステップを省けるわけです。これをドラッグ・リポジショニング、あるいはドラッグ・リパーポージングと呼びます。私は最近は、がんに対して治療に効果のあるドラッグ・リポジショニングに取り組んでいます。
実際のがん細胞で薬の効き具合を試すため、私は三次元培養という手法を用います。細胞を培養する場合、シャーレで平面的(二次元的)に培養するのが一般的です。しかし実際の生体内で、がん細胞は立体的に存在します。二次元上で「効いた」という成果が出ても、立体ではまるで効果がないケースもあります。そこで、最初から三次元でがん細胞を培養するのです。

クリーンベンチを使用して細胞を培養

三次元培養の手法を活用し、生体に近い状態を再現する

がん細胞は増殖意欲が旺盛です。そこでシャーレの底面を加工し、ちょっとした足場のような引っ掛かりをつけたシャーレを使います。すると、その足場をきっかけに、がん細胞は平面的に張り付くことなく、ぐりぐりと立体的に増殖することができます。三次元で培養すると、がん細胞の転移能や運動能などに対する薬の効き具合の多元的評価ができるようになります。動物実験に頼らなくても既存薬の評価がある程度できるのも、三次元培養のメリットと言えるでしょう。がん細胞以外では増殖が活発に行われない、など課題は残されています。これらをうまく克服して、in vitroで(イン・ビトロ=「試験管・培養器で」という意味)知見を積み重ねられる体制を作っていきたいと思います。
関連して、医療機器の評価モデル改善にも取り組んでいます。例えば人工透析で透析液やチューブなどを用いますが、生体に接するこれらの材料の評価方法が定まっていません。もちろん安全面の問題はないのですが、分子・遺伝子レベルで生体に与える影響を明らかにしておいた方がいいでしょう。この場合も、三次元培養の手法が使えそうです。生体に近い状態を再現し、より的確な評価系を構築していきたいと思っています。

三次元培養されたがん細胞
さまざまなテーマを進めることで、
医療・医薬の発展に貢献しています

医薬品情報を再構築し、一般の人々にも使い勝手の良いものに

「既存データの再構築と情報提供ツールの開発」というテーマにも取り組んでいます。医薬品に関する情報は集積され、ビッグデータを形成しています。ところが整理されていないため、研究者や医療関係者ですら利用するのが難しいです。こうした情報を整理し、検索しやすいツールとともに一般の人々にも開放できれば、患者さん自身が医薬品について調べることができるでしょう。
このようなビッグデータを使いやすいよう再構築するには、むしろ工学を学んだ学生の方がいいアイデアを持っているかもしれません。情報検索ツールや情報提供ツールを使い慣れている彼らの知恵に期待したいところです。
また、「ストレス負荷に対する生体の応答と防御機構」に関するテーマもあります。生体は何らかの負荷がかかった際、ストレス軽減のためのさまざまなタンパク質を分泌します。中でもメタロチオネインというタンパク質は有能で、カドミウムや銅、水銀など毒性の強い重金属が体内に入ると、それらの金属と結合して解毒するのです。それだけでなく、紫外線など金属以外のストレスでも働いているようで、大変優秀な防御システムと言えるでしょう。こうした生体の防御機構についても研究を進めます。
医薬品や治療、あるいはそれらに付随する検査や評価など、医療の発展に貢献できる成果を提供していきたいですね。

学生ならではのアイデアや
知恵にも大いに期待しています