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地球環境学科

﨑田 省吾

教員紹介

﨑田 省吾SAKITA Shogo

環境学部 地球環境学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○環境工学
【担当科目】
循環資源論 、 水質環境学 、 環境アセスメント 、 環境分析化学実験 ほか
【研究テーマ】
1.都市ごみ焼却灰の効率的脱塩技術の開発
2.都市ごみ焼却灰の炭酸化処理に関する研究
3.海面埋立廃棄物の化学的早期安定化に関する研究
4.最終処分場浸出水水質の長期予測
【ひとこと】

いろいろと経験して自分がやりたいことを見つけ、かつ、自分にしか出来ないレベルを目指してトコトンやってみましょう。

研究紹介

﨑田 省吾SAKITA Shogo

環境学部 地球環境学科 教授

ゴミを燃やした後の焼却灰を、コンクリート材料に、CO₂削減に活用する
PROLOGUE

生活や仕事をしていると、どうしても出てしまうのがゴミ。燃やせるゴミは自治体が回収し、焼却されて最終処分場に送られ、埋め立てられます。ところがこの最終処分場を作る場所がだんだん減ってきているらしいのです。最終処分場がなくなると、燃やせるゴミの処分に困ってしまい、大変です。そこで、焼却灰の有効利用法を考え、処分場に持ち込まれる焼却灰の量を減らせないかと研究しているのが﨑田先生。砂や砂利の代わりとして使えるようにするほか、CO₂削減に貢献する技術もあるらしいのです。

焼却灰をUFB水で洗浄すれば、コンクリートに使えるようになる

ゴミは燃やすと、容量が3割位になります。残った焼却灰は最終処分場に運んで埋め立てるのですが、町の近くには作れず、最終処分場の新設がだんだん難しくなっています。既設の最終処分場を少しでも長く使うには、焼却灰の量を減らさないといけません。
そのためには、焼却灰を何かに有効活用すればよいのです。例えば、砂利や砂の代わりにセメントに混ぜて再利用する方法があります。砂・砂利を半分程度に減らし、その分に焼却灰を足して作ったコンクリートも、性能的にはほぼ問題がありません。
しかし問題が一つあります。焼却灰に含まれる塩化物がコンクリート内の鉄筋を錆びさせてしまう、という点です。これを解消するには焼却灰を水で洗浄し、塩化物を抜いてやらないといけません。洗浄後の排水はきれいに処理しないといけないのですが、水処理は結構高コストになります。となると、排水量をできる限り抑えなければなりません。
そこで私たちは、ウルトラファインバブル(UFB)水という、水の中に1マイクロメートル以下の気泡を含んだ水を利用することを考えました。UFB水は水道水と比べ、4~5倍の洗浄力を発揮します。それだけ洗浄に使う水量を減らせるわけです。
現在は、UFB水の洗浄力の理由や、どんな種類の焼却灰にも効果を発揮できるのか、などを詳細に調べているところです。解明されれば、焼却灰を有効に活用するための策になるかもしれません。

焼却灰を有効活用するための方法を、
いろんな角度から研究

炭酸化処理により、重金属とCO₂の問題を同時に解決

最終処分場は20年くらい使用すると、焼却灰が満杯になります。満杯になった処分場は閉鎖されますが、焼却灰には鉛や亜鉛、ニッケルなどの重金属が含まれています。酸性雨に触れて外部土壌に漏れ出すことのないよう、しっかり管理しないといけません。
焼却灰から出る有害物質量が環境基準を下回るまで、平均17~18年。その間ずっと、管理のコストがかかり続けます。有害物質の溶出を防ぐことができれば、管理期間が短くなり、コストを削減できるとともに処分場跡地の再利用も早く始められます。
そこで二酸化炭素(CO₂)を使った処理に取り組んでいます。CO₂は重金属と反応すると、炭酸鉛や炭酸亜鉛などになります。炭酸化すると水に溶けにくくなります。土壌に漏れ出す心配がなくなるため、管理期間の短縮につながるわけです。
加えて世界的なCO₂削減の流れがあります。環境面から見ると「迷惑者」である重金属とCO₂を、かけ合せることで同時解消できる一石二鳥の策なのです。この手法に、行政も高い関心を示しています。

炭酸化処理することで、
焼却灰に含まれる重金属が難溶性になります

リサイクル技術の追究により、SDGsに貢献

海上に処分場を作る自治体もあります。広島も2ヶ所、海面処分場を持っているので、そこでの継続的なサンプリング調査も行っています。海面処分場のメカニズムは陸上と異なりますが、抱える課題は共通するので、貢献できることもあるでしょう。
企業からでも自治体からでも、ゴミに関する相談事には何でものってきました。以前は紙おむつのリサイクルに取り組んだこともあります。紙おむつを破砕して汚泥と混ぜて炭化すれば再利用できるのでは、などさまざまなアイデアを出しました。
リサイクルを実現する上で大事なのは、経済的な持続性です。お金をかければどんなゴミもリサイクルできるのですが、その結果生まれたものが売れなければ、次のゴミを処理する原資ができません。私たちは研究者なので市場にまで介入するのは難しいですが、「どうすればリサイクルが継続できるのか」という視点を忘れずに課題に向き合っていきたいと思います。
SDGsが言われる昨今、リサイクルについての意識も高まっています。世の中に貢献できるような技術や発想を提示していきたいですね。

焼却灰を減らすには、
継続的なリサイクル法の確立が不可欠です