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中国の切り絵と不思議な貯金箱づくりで参加者を笑顔に 出張理科実験教室「JCDキャロット」

2019.01.24

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「JCDキャロット」による出張理科実験教室と中国からの短期留学生による切り絵遊び体験が、12月15日、広島市佐伯区にある坪井公民館で行われました。「JCDキャロット」は女子学生キャリアデザインセンター(JCDセンター)が女子学生のキャリアアップを支援するために展開している活動の一つで、「子どもたちにもっと理科を好きになって欲しい」という思いで、1、2年生の女子学生を中心にプロジェクトチームを結成。各地の小学校や公民館に出向いて理科実験を行っています。いつもは小学生だけを対象としていますが、今回は初めてシニア世代の参加も募り、世代を超えた理科実験室を開催。「消える?貯金箱づくり」に挑戦しました。同時に、本学の協定校である瀋陽航空航天大学(中国)からの短期留学生が、中国の文化の紹介や切り絵あそび「剪紙(せんし)」体験を行いました。その様子をさっそく覗いてみましょう。

会場となったのは、広島工業大学の近くにある坪井公民館。

会場となったのは、広島工業大学の近くにある坪井公民館。

シニア世代5名と小学生8名が参加。それぞれ向き合って座り、少し緊張しながら講座が始まるのを待っていました。

シニア世代5名と小学生8名が参加。それぞれ向き合って座り、少し緊張しながら講座が始まるのを待っていました。

剪紙(せんし)づくりで、中国文化に触れる
はじめに、中国からの短期留学生4名がプロジェクターを使って簡単に自己紹介。9月中旬に日本に来た留学生ですが、流暢な日本語で年齢や出身地、趣味、中国の遊びや文化について紹介しました。続いて剪紙(せんし)づくりをスタート。剪紙とは、無形文化遺産にも認定されている中国の伝統的な切り絵のことです。花や動物、日常風景や生活習慣、物語などの図案があり、お正月や結婚式など、めでたい行事の時に飾られています。この日挑戦したのは、結婚式に使われるモチーフの「喜」が2つ並んだ文字の剪紙。JCDメンバーも、曲線を切るのに苦戦している小学生に切り方のコツを教えるなど、一人ひとりに寄り添いながら作業を手伝っていました。

「中国の小学校では卓球の授業が盛んです」と、子どもたちにわかりやすいよう、写真や動画を使って中国の小学校事情を紹介。

「中国の小学校では卓球の授業が盛んです」と、子どもたちにわかりやすいよう、写真や動画を使って中国の小学校事情を紹介。

剪紙(せんし)づくりでは、紙を切り落とさないように注意しながら作業を進めます。

剪紙(せんし)づくりでは、紙を切り落とさないように注意しながら作業を進めます。

紙を広げると華やかな「喜」の文字が。

紙を広げると華やかな「喜」の文字が。

お金を入れると消える!?不思議な貯金箱
剪紙(せんし)づくりの後、「消える?貯金箱」の工作に挑戦。これは、貯金箱の側面に大きな窓が付いていて、箱の中が見えるのにお金を入れると消えてしまうという不思議な貯金箱です。JCDメンバーが、「お金が消えるように見えるのは、鏡による目の錯覚を利用したものです」と伝えると、参加者からは「なるほど」と声が上がっていました。

自分が積み上げたプログラミングでロボットが進み出すと「動いた!すごい!」と、子どもたちは大興奮。

お金が消える仕組みを分かりやすく解説。

仕組みを理解したところで、お待ちかねの工作のスタートです。

仕組みを理解したところで、お待ちかねの工作のスタートです。

作業中はJCDメンバーと留学生たちが参加者側と一緒に、牛乳パックを切るお手伝いをしたり、硬貨を入れる穴の切り方のコツを教えたりしていました。シニア世代の方々も、自分の孫に教えるかのように、協力しながら終始にこやかに作業を進めていました。

シニア世代の参加者は、「上手い!その調子!」と声をかけながら、子どもたちとの交流を楽しんでいました。

シニア世代の参加者は、「上手い!その調子!」と声をかけながら、子どもたちとの交流を楽しんでいました。

子どもたちの真剣さに影響されたのか、いつの間にか童心に戻って夢中になる方も。

子どもたちの真剣さに影響されたのか、いつの間にか童心に戻って夢中になる方も。

祖父と孫のペアで参加した川﨑正雄さんと横山央輔くん(小学3年生)に感想を聞きました。
「消える貯金箱が面白そうだと思って参加しました。鏡を固定するのが難しかったけれど、みんなが手伝ってくれたのでできました。」と央輔くん。「子どもや学生、シニア世代と多世代が交流できるのがいいですね。若い人にパワーをもらいました」と川﨑さん。

出来上がった貯金箱を持ってにこりと笑う川﨑さん(左)と央輔くん(右)

出来上がった貯金箱を持ってにこりと笑う川﨑さん(左)と央輔くん(右)

短期留学生の許媛さんにお話しを聞きました。

「どうしたら中国の文化に興味を持ってもらえるのかを考えた」という許さん。4人の留学生と何度も打ち合わせを重ね、題材選びから説明まで力を合わせて準備をしてきました。剪紙を選んだのは、小学生にもできて、中国の悠久の歴史を感じてほしいとの思いから。「私たちは、いつも大学でお世話になりっぱなしだったので、こうやって役に立てることが嬉しいです」と語ってくれました。

「日本語は勉強中なので、自分の考えを上手く伝えられるのか不安でした。いろいろな世代の人と日本語で話す経験ができて良かったです」と許さん。

「日本語は勉強中なので、自分の考えを上手く伝えられるのか不安でした。いろいろな世代の人と日本語で話す経験ができて良かったです」と許媛さん。

貯金箱の仕組みを説明した下紺澪さん(生体医工学科1年)にも話を聞きました。

今回、新しい題材として「消える?貯金箱」を行うことになったのは、下紺さんのアイデア。「JCDキャロットの実験テーマの種類を増やす目的で、新しい実験に挑戦。製作はもちろん、どうやったら原理が子どもたちに伝わるのかにも配慮して準備しました」と語ってくれました。もうひとつの新しい試み、多世代(シニアと子ども)を対象としたのは、今夏に坪井公民館で理科実験教室を実施した際の「次はシニア世代に向けたイベントもやって欲しい」という要望を受けたもの。「一番難しかったのは、シニアと子どもの製作速度や作業の理解力に差があったことです。」と下紺さん。今日の経験と反省を今後に活かしていきたいと話してくれました。

将来は臨床工学技士として病院勤務を志望する下紺さん。様々な世代と会話をする難しさを知った経験は、これからに活かせると目を輝かせていました。

将来は臨床工学技士として病院勤務を志望する下紺さん。様々な世代と会話をする難しさを知った経験は、これからに活かせると目を輝かせていました。

これからさらに新しい実験の数を増やし、来年度の活動の幅を広げたいと語るJCDキャロットのメンバーたち。今後のさらなる活躍に乞うご期待!

JCDセンター