食品生命科学分野で「AI・データサイエンス」を学ぶ意義とは?

2021.01.21

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広島工業大学では2020年度入学生から全学部生を対象に、AIを活用できる人材の育成を目的とした授業をスタートさせました。それが「AI・データサイエンス入門」で、1年生の必修科目となっています。
しかし、本学には「AI・データサイエンスといった技術領域から遠いのでは?」と思われがちな学科もあります。例えば生命学部・食品生命科学科がその一つです。食品生命科学分野の学生がAI・データサイエンスを学ぶ意義は何か。同学科で授業を担当する今井章裕准教授にお話をうかがいました。

食品生命科学科で「AI・データサイエンス入門」の授業を担当する今井章裕准教授。

食品生命科学科で「AI・データサイエンス入門」の授業を担当する今井章裕准教授。

今井先生の専門は生物学ですが、研究のため取得した膨大なデータを自動処理させるためのプログラムを自作するほど情報分野にも精通しています。

今井先生の専門は生物学ですが、研究のため取得した膨大なデータを自動処理させるためのプログラムを自作するほど情報分野にも精通しています。

「食品や農業、生物、遺伝子といった分野も、今やAI・データサイエンスと無縁ではいられません」
と今井先生。
「食品工場では、不良品を取り除くためにAIを活用している例があります。生産した食品の画像をAIに認識させ、定形外のものを自動で排除するシステムが構築されているのです。
農業で注目されているのは"スマート農業"です。これからはAIがドローンで育成状況を把握し、無人トラクターをコントロールして収穫する、といった農業が一般的になるかもしれません。
遺伝子解析・診断も同様です。かつてヒトゲノムの解析には10~15年という歳月が必要でしたが、AIにより、今やあらゆる生物のゲノムにおいて高精度の解析が数週間でできるようになっています」
加速するAI活用の流れに対応するため、学生のうちに基礎を学んでおくのが大事、と先生は強調します。

AIの画像認識を活用すれば、食品工場の不良品チェックを目視で行う必要はなくなります。(イメージ写真)

AIの画像認識を活用すれば、食品工場の不良品チェックを目視で行う必要はなくなります。(イメージ写真)

AIを活用して回転寿司の売行を予測することで、食品ロスをなくすという取り組みも始まっています。(イメージ写真)

AIを活用して回転寿司の売行を予測することで、食品ロスをなくすという取り組みも始まっています。(イメージ写真)

AIで農作物の生育を管理し、無人トラクターをコントロールして収穫する"スマート農業"(イメージ写真)

AIで農作物の生育を管理し、無人トラクターをコントロールして収穫する"スマート農業"(イメージ写真)

AIの機械学習が発達したことで、遺伝子解析に要する時間が大幅に短縮できました。(イメージ写真)

AIの機械学習が発達したことで、遺伝子解析に要する時間が大幅に短縮できました。(イメージ写真)

"AI・データサイエンス"と聞いただけで、苦手意識を覚える学生も少なくありません。しかし彼らも、既にそれらの技術を日常で使っています。
「代表的なのはスマホの顔認証技術です。自分の顔をAIに認識させて持主だと判別させているのですが、この顔認証技術と、食品工場で用いられる画像認識による不良品除去システムの基本は同じです。カーナビでも同じことが言えるでしょう。カーナビはAIで最適経路を検索するのですが、同じロジックが遺伝子解析にも適用されています」
AIが身近な存在であり、しかも同じロジックの技術が自分たちの専門分野でも応用されていると伝えると、学生たちは関心を持ち始めます。それがAI・データサイエンスに取り組む第一歩になるのだそうです。

「同じ大学内に情報系学部があり、資料を共有したりアドバイスを提供してもらえる環境が、AI・データサイエンス関連のカリキュラムを構築する上で大きな強みになっています」と今井先生。

「同じ大学内に情報系学部があり、資料を共有したりアドバイスを提供してもらえる環境が、AI・データサイエンス関連のカリキュラムを構築する上で大きな強みになっています」と今井先生。

授業では、AIの活用事例やグラフ・表などデータの科学的見方とともに、初歩のプログラミング作成も学びます。「入門」を修了後、より理解を深めたいと思った学生は、3年次の選択科目「AI・データサイエンス応用」でさらに専門的にAIと向き合えます。
今井先生は
「食品生命科学の現場で活かせるAI・データサイエンスの知識を身に付けさせたい」
と抱負を語ってくれました。