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現場のプロを講師に招き、システム設計を実践的に学ぶ~大学院工学研究科・情報システム科学専攻『組込みシステム開発実践』

2021.03.08

このニュースは、クローズされました

※新型コロナウイルス感染症対策を講じたうえで取材・撮影を行っています。

自動車や産業機械、家電など、今やあらゆる製品に独自のプログラムが組み込まれ、効率の良い制御を担っています。そういった組込みシステムについて学ぶのが、大学院工学研究科・情報システム科学専攻の『組込みシステム開発実践』です。
2021年2月1~3日の3日間で、産業機械メーカー・オムロン(株)のエンジニア・土井昌志氏を講師に迎え、オンライン講義が行われました。

講師としてお招きしたオムロン(株)のエンジニア・土井昌志氏(右)。

講師としてお招きしたオムロン(株)のエンジニア・土井昌志氏(右)。

本学の「HITイノベーション・ハブ」とオムロンの会議室をオンラインでつないで講義が行われました。

本学の「HITイノベーション・ハブ」とオムロンの会議室をオンラインでつないで講義が行われました。

この日土井氏から与えられた課題は、「セグウェイの仕様を決めてみよう」。
走行速度:時速20km、航続距離:40kmというスペックと、加速度センサ・モータ回転センサを用いることは既定。後は院生が情報を収集し、基礎理論や方程式を駆使して、必要なセンサ類や、モータ出力・電池容量・システム重量を決めていくのです。
講義をサポートする情報学部長・濱﨑利彦教授は、
「院生には単なるプログラミングではなく、システム全般を見渡した開発・設計を体験させたい。プロのエンジニアがどんな視点でシステムを捉えるのか学んでほしい」と補足します。
5名の院生はそれぞれ役割を分担しながら課題に向き合いました。

「搭乗する人の重量は?100kgで足りる?」「モータは?システム重量はどれくらいになる?」方程式を見つめながら、理論的な想定を積み重ねます。

「搭乗する人の重量は?100kgで足りる?」「モータは?システム重量はどれくらいになる?」方程式を見つめながら、理論的な想定を積み重ねます。

院生らの動きが止まっていると、土井氏が画面の向こうから「今、行き詰ってますか?」とタイムリーに声をかけてくれました。

院生らの動きが止まっていると、土井氏が画面の向こうから「今、行き詰ってますか?」とタイムリーに声をかけてくれました。

1時間ほどかけて仕様をまとめた院生たちは、土井氏に向かって報告します。
「センサについては、モータ回転センサをタイヤ近く、加速度センサをハンドル上部に設置するほか、台座に感圧センサを設置します」
「モータ出力は430W、電池容量は1500Whになります」
「電池容量1500W毎時からバッテリ重量を7.5kgと割り出し、システム重量は11.5kg、搭乗者重量を110kgと想定しました」
時折り、土井氏から質問が飛びます。
「RPSの数値は合ってますか」
「加速度センサを上部に設置した意図は?」
細かな部分も見逃さない土井氏の指摘がある度、ホワイトボードを示しながら解説を加える院生たち。
多少の補足はあったものの、土井氏より「ほぼ妥当な考え方です」と評価をもらった時、院生らはホッとした表情を浮かべていました。

土井氏は「加速度センサを上部に設置するとノイズを拾ってしまう。重心に近い下部が的確にセンシングできます」とアドバイス。

土井氏は「加速度センサを上部に設置するとノイズを拾ってしまう。重心に近い下部が的確にセンシングできます」とアドバイス。

右は、組込みシステムを学ぶのに使用した模型キット。土井氏らは普段、これよりはるかに大きなスケールの産業ロボット開発に携わっています。

右は、組込みシステムを学ぶのに使用した模型キット。土井氏らは普段、これよりはるかに大きなスケールの産業ロボット開発に携わっています。

実際に制御機器や産業ロボットの開発に携わるプロによる指導のもと、マニュアルでは解決できない課題を克服し、オリジナルなものづくりを体験できるのがこの講義の特徴です。
「組込みシステムを造る場合、システムの対象を知らないとうまくいきません。情報系エンジニアであっても、機構や電気的特性、信号処理の方法を熟知しておく必要があるのです。それが理解できたみなさんは、プロに一歩近づいたと言えるでしょう」
と土井氏は総括しました。
実際に製品を作るには、どこまで考慮して設計しなければいけないか、どんな視点を持つ必要があるかを体感する貴重な経験となりました。院生たちのチャレンジは、まだまだ続きます。

河内洸貴さん「適切にアドバイスをもらえて有意義でした。3日間が短く感じ、システム開発の実際をもっと学びたいと感じました」

河内洸貴さん「適切にアドバイスをもらえて有意義でした。3日間が短く感じ、システム開発の実際をもっと学びたいと感じました」

岡田樹さん「オンライン講義であったものの、プロのエンジニアならではの視点など、普段では聞けない話を聞くことができて面白かったです」

岡田樹さん「オンライン講義であったものの、プロのエンジニアならではの視点など、普段では聞けない話を聞くことができて面白かったです」

講義にご協力いただいたオムロン(株)の土井氏を始めとするエンジニアの方々、本当にありがとうございました。