©Hiroshima Institute of Technology. All Rights Reserved.

スペシャルオリンピックス広島大会を盛り上げる、カウントダウンボード案を作成

2022.05.16

このニュースは、クローズされました

知的障害を抱える人達が躍動する国際的スポーツ大会「スペシャルオリンピックス(SO)」の国内大会が、今秋、広島で開催されます。本学の学生が、開催100日前カウントダウンイベントに協力し、カウントダウンボードを制作して広島大会を盛り上げます。
SOの趣旨に賛同し、「ぜひ取り組んでみたい」と自ら手を挙げたのが、14人の学生ボランティアです。学部2年次生から大学院2年次生まで、学年・学科を超えて終結したメンバーは3チームに分かれ、それぞれ積極的に意見を交わしながらボードデザインを作成。その3案から最終案を絞り込む検討会がコンペ形式で実施されました。

SOを盛り上げる力になりたい、と希望して参加した学生ボランティア

SOを盛り上げる力になりたい、と希望して参加した学生ボランティア

最終案を絞り込む話し合い

最終案を絞り込む話し合い

まずは検討会に至るまでの、ボード制作プロセスを紹介しましょう。
最初にメンバーは、SOの理念や具体的な活動内容を知ることから始めました。
そしてSOを広く伝えるため、どんな要素をボードに反映すればいいか、検討。
「デジタルサイネージなどは使えないか?」といった案が出たものの、コスト面の問題で断念。デジタル世代にはQRコードを活用しよう、アナログ世代には印象的な写真が心に響くだろう、など方針を固めました。

知的障害者のスポーツ参加状況などを学ぶことからスタート

知的障害者のスポーツ参加状況などを学ぶことからスタート

3チームに分かれブレインストーミング。意見をホワイトボードに書き出し、思いを明確化します

3チームに分かれブレインストーミング。意見をホワイトボードに書き出し、思いを明確化します

その後、チームごとに実制作を開始。しかしボードデザインなどやったことがないため、盛り込む内容がまとまらなかったり、色使いに苦労したり...と悪戦苦闘しました。
学生たちは自発的に大会事務局と連絡を取り合い、ボードに対する詳細な情報の収集や希望のヒアリングを行いました。大会事務局の方々とも意見交換を行う中で、多くの人の目に留まるカウントダウンボードに対する期待の大きさをひしひしと感じたメンバーたち。何度も行き詰まったものの、メンバー同士の協力で乗り越え、ボードデザインを完成させることができたのです。

どうやったらわかりやすくなるか、試行錯誤を繰り返しました

どうやったらわかりやすくなるか、試行錯誤を繰り返しました

途中段階で発表。他チームから意見をもらい、ブラッシュアップ

途中段階で発表。他チームから意見をもらい、ブラッシュアップ

大会事務局の方々との検討会。SOへの思いを直接うかがいました

大会事務局の方々との検討会。SOへの思いを直接うかがいました

そして迎えた、最終案に絞り込むための検討会。

奥平チームはサブリーダーの越智さん(愛媛県立松山工業高等学校出身/愛媛県)が、
「広島大会のコンセプト"Power of Smile"を意識し、過去の競技写真から笑顔のものを集め、知らない人にもイメージしてもらえるようにしました」
と紹介しました。

隅チームは、リーダーの隅さん(広島工業大学高等学校出身/広島県)が、
「つながり、一体感を伝えるため、パネル全体にまたがる線を引き、アスリートのアイコンなどを入れて親しみやすくしました」
と、 "つながり"へのこだわりを強調しました。

写真を大きく使い、大会イメージを伝えた奥平チーム

写真を大きく使い、大会イメージを伝えた奥平チーム

一本のラインにこだわり、「つながり」をアピールした隅チーム

一本のラインにこだわり、「つながり」をアピールした隅チーム

山本チームの案は、リーダーの山本さん(クラーク記念国際高等学校出身/北海道)が、
「大会ロゴの基調色である"情熱"を表す赤、"都市の賑わい"を示す黄色、"豊かな自然"を示す緑・青で、パネル各面を構成。"Power of Smile"は黒バックに白文字を使用し、スタイリッシュで視認性高く仕上げました」
と説明しました。

コンセプトを意識した明確な色使いで印象付けた山本チーム

コンセプトを意識した明確な色使いで印象付けた山本チーム

「この大会を一般の方にも障害を抱える方にも、広く知ってほしい」と鎌田さん

「この大会を一般の方にも障害を抱える方にも、広く知ってほしい」と鎌田さん

多数決の結果、最終案に選定されたのは山本チームの案でした。

デザイン案の決定を受け、メンバーは以下のようにコメントしてくれました。
「SOというイベントに興味を持ち、できることがあればサポートしたいと思って取り組みました。大会スローガンは"誰もが輝ける場所へ"と謳っていますが、このボード制作においても、参加したみんなが"輝いて"いたと感じます」(越智さん)
「学生としてできることに何でもチャレンジしたい。そんな理由でボランティアに参加しました。"コンセプトって何だ?"というつたないところからのスタートだったけど、短期間でみんな成長できました」(隅さん)
「ボランティアもグループワークもやったことなかったのですが、SOは自分にとって良い経験につながるのではないかと感じ、応募しました。うちのチームが最終案に選出されたけど、これはボランティアメンバー全員の協力のおかげです」(山本さん)

また、最上級生のまとめ役・鎌田壮平さん(出雲北稜高等学校出身/島根県)は、
「ボランティア活動に、学年の違いは関係なく、誰でも遠慮なく意見が言えます。さまざまな考え方に触れることで自分自身を磨き、引いてはSO成功に寄与したいと思って参加しました。実際にやってみて、いろんな視点を持つ人が協力する、という多様性の大事さを実感しました。それがデザインのレベルアップにつながったと思います」
と感想を述べました。

「グループワークでさまざまな意見を交わせたのは良い体験になった」と越智さん

「グループワークでさまざまな意見を交わせたのは良い体験になった」と越智さん

「SOやパネル作りなど、講義では出て来ない知識が学べた」と隅さん

「SOやパネル作りなど、講義では出て来ない知識が学べた」と隅さん

「ボードがSOを知ってもらうきっかけになってほしい」と山本さん

「ボードがSOを知ってもらうきっかけになってほしい」と山本さん

「選に漏れた案も学内展示などで見せたい」と村上教授

「選に漏れた案も学内展示などで見せたい」と村上教授

指導にあたった電気システム工学科の村上教授は、
「みんなボードデザインなど経験したことがなく、まさにゼロからのスタート。しかし彼らは常に前向きに、自発的に事務局とコンタクトを取るなどできる限りの工夫をしながら、優れた案にたどりつきました。ここまで来れたことに、学生自身が一番驚いていると思います」
と目を細めます。

完成したボードは7月から県民文化センターに、10月から広島空港に展示される予定です。
学生の知恵と意欲が、SOを盛り上げる力となるでしょう。

ボランティア参加者
■機械システム工学専攻
鎌田 壮平
越智 堅敦
■電子情報工学科
赤川 颯音
山本 耕史
■電気システム工学科
隅 亮太
西本 瑠伽
■情報工学科
小迫 隼也
坂本 花凛
山本 悠貴
■知的情報システム学科
平木 賢人
■情報コミュニケーション学科
奥平 泰基
岩田 将大
■建築デザイン学科
白砂 優羽
土井 究太

※NPO法人スペシャルオリンピックス日本・広島の公式HPはこちら