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呉の地下に眠る、巨大施設の謎に迫る~海上自衛隊呉基地内・旧海軍施設学術調査

2023.01.30

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呉には、旧海軍の歴史的建造物が数多く残っています。しかし現存する史料が少なく、研究が進んでいません。そこで建築デザイン学科・光井准教授のゼミでは、現在の敷地管理者である海上自衛隊の協力を得て、これらの学術調査を行っています。
今回は、地下壕調査を実施。コンクリート専門家の建築工学科・坂本教授も同行し、コンクリートの状態を調べました。

旧海軍地下壕 ブロックの向こうには高さ8m以上の巨大空間が広がっていると予想されています

旧海軍地下壕 ブロックの向こうには高さ8m以上の巨大空間が広がっていると予想されています

入口は以前から確認されていましたが、内部の状態は不明

入口は以前から確認されていましたが、内部の状態は不明

入った途端、約9mの急斜面、がれきの中を慎重に降ります

入った途端、約9mの急斜面、がれきの中を慎重に降ります

高さ2mの真暗な通路が20mほど続きます

高さ2mの真暗な通路が20mほど続きます

9mの斜面を下り、20mの通路を行った先に、かまぼこ型の空間が広がります。その壁や天井のコンクリートを、坂本教授らは丹念に調べました。
地下施設の概要を示す史料として光井准教授らの手元にあるのは、隣接する造船会社が1979年に作成した図面のみ。図面と見比べてそこが何の場所か想定はできますが、施工時期・方法などは一切不明です。

高さ3m以上、幅4mほどのかまぼこ型空間の壁を調べます

高さ3m以上、幅4mほどのかまぼこ型空間の壁を調べます

壁のひび割れ、長年の地盤沈下によるものか

壁のひび割れ、長年の地盤沈下によるものか

鉄筋探査機で調査、鉄筋は存在しないようです

鉄筋探査機で調査、鉄筋は存在しないようです

リバウンドハンマーで表層強度を測定 劣化が少なく、非常に良好な状態

リバウンドハンマーで表層強度を測定 劣化が少なく、非常に良好な状態

坂本教授は3ヶ所を選び、鉄筋探査機(最大探知深さ150mm)やリバウンドハンマーで測定。鉄筋が入っていない可能性が高いこと、表層強度は良好であることなどが確認できました。

2時間程度で調査は終了。初めて地下壕に足を踏み入れた坂本教授は、
「今日は非破壊検査による間接的な測定でしたが、次回は壁からコンクリートコアを抜き、引張強度や圧縮強度を測定したり、材料構成を調べたいと考えています。80年も前のコンクリートがこれほどいい状態で保たれているのですから、どのような材料や施工が行われていたか、ぜひ明らかにしたい。それは、新たなコンクリート材料・技術の開発の参考になるでしょう」
と意欲を示しました。

表層材のはがれた箇所についても、表層強度やサイズの測定を行いました

表層材のはがれた箇所についても、表層強度やサイズの測定を行いました

「80年前のコンクリートがこれほど良好な状態で残っているのは、とても貴重」と坂本教授

「80年前のコンクリートがこれほど良好な状態で残っているのは、とても貴重」と坂本教授

今後も調査を重ね、地下に眠る80年前の歴史的建造物の謎を解明していきます。
海上自衛隊・呉地方総監部を始め、ご協力いただいている方々に厚く御礼申し上げます。

※新型コロナウイルス感染症対策を講じ、取材・撮影を行っています。