「学生のための木を活かす仕事体験ツアー」開催
2024.11.28
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ひろしま木づかい推進協議会(事務局:広島県)主催、本学SDGs推進センター後援の企画として、9月4日に「学生のための木を活かす仕事体験ツアー」が庄原市と三次市で開催されました。本ツアーは、8月20日に廿日市市吉和で開催された「間伐見学+SDGs食ツアー」に続き、SDGsに貢献する森林・林業・木材産業の第一線で活躍されている講師から講義を受け、現地見学しながら理解を深める夏休み企画第2弾です。
本学から参加した25名(学生23名、教員2名)は、県内の他大学建築系学科の学生とともに、森林資源の循環である川上(森林)から川下(木材加工・利用)までを、現地見学しながら学びました。
最初の見学先である庄原市民会館では、広島県林業課の沖宗さんより『広島県の森林・林業の現状』について、土井木工株式会社 代表取締役 土井社長より『地域材を活かした家具作り』についての講演があり、その後 市民会館内の地元のヒノキやケヤキを使った家具、内装を見学しました。身近な森林で育った木材を地域の工場で加工し、地域で利用するという循環は、SDGsの考え方に沿った行動であることを実体験として学びました。
他大学を含めて32名の学生が参加
土井社長による家具や内装の説明
庄原市民会館前に植えられていたケヤキを家具として活用
地域材による内装、家具
遊具
次に、庄原市内のコウヨウザン植林地を見学しました。コウヨウザンは中国原産で、伐採後は苗を植えなくても切株から自然に萌芽更新するほど成長が非常に早く、将来の建築材料として期待されている木材です。備北森林組合 組合長の八谷さんより、庄原市の再造林率(伐採した後に植林される割合)は約10%で深刻な状況にあり、林業の担い手不足が理由の1つであることが説明されました。SDGsの理念である持続可能な社会の実現のために、植林の手間が減るコウヨウザンが注目されていることが紹介されました。
60年前に植林されたコウヨウザン
八谷さんからコウヨウザンの説明を聞く参加学生
切株から自然に萌芽更新したコウヨウザンの幼木
最後に三次市に移動し、『もくろす みよし』(広島銀行十日市支店)を見学しました。地上3階建で、2~3階が木造と鉄骨造のハイブリッド構造となっており、県内では珍しい木造大型店舗です。構造部材だけではなく、フローリングや家具にも広島県産材がふんだんに使われており、金融機関でZEB※(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)認証と木造建築を取り入れた全国初の建物になっています。
※ZEB:快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。
木造の構造部材には集成材を使用
家具やフローリングにも県産材をふんだんに使用
今回のツアーに参加した学生へのアンケートによると、森林の「物質(木材)生産」や「地球環境保全」への理解が深まり、「森林(コウヨウザン植林地)見学」と「地域材を活用した家具」が印象的だったようです。未来を担う学生にとって、SDGsに貢献する『森林資源の循環』を学ぶ貴重なイベントになりました。