広島工業大学

  1. 大学紹介
  2. 学部・大学院
  3. キャンパスライフ
  4. 就職・資格
  5. イベント情報
  6. お知らせ
  7. 施設紹介
  8. 2024年度以前入学生の学部・学科はこちら→

広島工業大学

食健康科学科

松井 雅義

教員紹介

松井 雅義MATSUI Masayoshi

環境学部 食健康科学科 准教授

研究紹介

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○食品工学
○静電気工学
○生化学
【担当科目】
新食品開発 、 食品生命科学実験Ⅰ 、 食品製造学B 、 発酵食品学B 、 食品機能学
【研究テーマ】
1.高電圧パルス印加の食品加工技術への応用
2.放電プラズマを用いた迅速な焙煎・火入れ技術の開発
【ひとこと】

自分の可能性を広げ、より良い人生を過ごすことができるように、学業はもちろんのこと、趣味やその他興味があることに積極的に取り組んで下さい。最小限の努力で最大限の結果を得ようとするのではなく、最大限の努力をする姿勢を持ち、成功も失敗も沢山経験して視野を広げて下さい。みなさんと一緒に研究できることを楽しみにしています。

研究紹介

松井 雅義MATSUI Masayoshi

環境学部 食健康科学科 准教授

高電圧パルスやプラズマで食品分野の問題解決に挑戦!
PROLOGUE

食品の安全には、殺菌が大事。加熱による殺菌は効果的な方法として知られていますが、食品そのものの味や香りに影響を与える場合があります。そこで注目を集めるのが、高電圧パルスを食品の殺菌に活用する方法。ごく短い時間に高電圧をかけるので、発熱が抑えられ、食品本来の味や香りが損なわれにくいという特徴があります。この、高電圧パルスやプラズマを食品に用いる研究を進めるのが松井先生。先生によると殺菌だけでなく、いろんな食品加工に応用できそうです。

高電圧パルスの特徴

高電圧パルスというのは、ごく短い時間、高電圧をかける方法です。例えば、私が使っている電源装置は、数~数十マイクロ秒(1マイクロ秒=100万分の1秒)というほんの一瞬、1万数千ボルト程度の電圧を発生させることができます。この方法は、細菌の細胞に傷をつけることで殺菌できる技術です。薬品を使用しないため耐性菌や環境汚染の心配がありません。発熱が抑えられるため、食品本来の味や香りを保つことができる点も魅力的です。さらに、食品加工への応用も検討されています。
私の研究室では、ステンレスやアクリルなどの材料を加工して食品の大きさや状態に応じた処理装置を自作しています。工具類を使った経験が無い学生でも、基本から丁寧に教えますので問題ありません。簡単な工作レベルかもしれませんが、「ものづくり」を経験して欲しいという想いで指導しています。それぞれ自分で作った処理装置で意欲的に研究に取り組んでくれています。

以前所属していた研究室から
受け継いだ手作りの電源装置
パルス状の高電圧を発生させるための
ギャップスイッチ

プラズマを利用して、コーヒー豆の焙煎時間を大幅に短縮

高電圧パルスだけでなく、プラズマを食品に利用する方法も研究しています。2005年くらいから常温常圧の大気中で発生させたプラズマを応用する研究が活発に行われるようになり、様々な分野に広がっています。食品分野もその一つで、やはり殺菌効果に焦点があたっています。
私はプラズマを食品加工に応用する研究に力を入れています。その一例をご紹介します。以前、ある食品の非加熱殺菌を目的としたプラズマ処理の際、ほんの2分ほどで食品が焦げた現象を見ました。非加熱殺菌という目的から考えると失敗ですが、これは食品加工に使えるのではないか、と気づきました。思いついたのが、コーヒー豆の焙煎です。コーヒー豆は加熱しながら15~20分程度焙煎しますが(深煎りの場合)、むら無くしっかり焙煎するには時間と火力をうまくコントロールしなければなりません。実際に、コーヒー豆の焙煎をプラズマでやってみたところ、従来の半分程度の時間で深煎りの状態まで焙煎できました。
今はどの業界も人手不足で、仕事の効率アップが大きな課題です。コーヒー豆の焙煎も、半分の時間で従来と変わらない品質のものができるなら、食品製造業界の役に立つかもしれません。コーヒー豆の焙煎だけでなく、他の食品加工についても研究を進めています。

高電圧パルスが、食物アレルギーの解決に一役買うかも

再び高電圧パルスですが、私は、食品に関する他の課題の解決にも応用できるのではないか、と考えています。例えば、食物アレルギーです。これを解決するには、アレルギーの元になるアレルゲンを除去するか、分解するなどの方法が考えられます。しかし、これらの方法は操作の煩雑さやコストの問題を抱えています。
高電圧パルスが何か役立つことはないか、卵アレルギーの原因である卵白アルブミンを対象に、様々な観点から研究を進めています。アレルギーは簡単に言うと、アレルゲンが体内に入った時、体内のある細胞の表面に存在する抗体と結合することで発症します。アレルゲンと抗体の結合を阻害すれば、発症は防げるはずです。高電圧パルスがうまく阻害してくれるのでは…と期待したのですが、実験すると、むしろ卵白アルブミンと抗体の結合が促進される、という真逆の結果が出ました。
しかし、結合が促進されるということは、卵白アルブミンを検出しやすくする効果があるのではないか、と発想を転換させたのです。さらに研究を進め、アレルゲンの検出という観点から食物アレルギーの予防に貢献したいと考えています。
殺菌、食品加工、あるいは食物アレルギー。食品に関わる様々な課題を解決するため、高電圧パルスやプラズマをうまく応用したいですね。

卵白アルブミンの立体構造
赤いところが抗体と結合する部分です