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広島工業大学

地球環境学科

近藤 裕介

教員紹介

近藤 裕介KONDO Yusuke

環境学部 地球環境学科 講師

研究紹介

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○海洋生物学
○プランクトン学
○分類学
【担当科目】
環境基礎生物学 、 生物圏の科学 、 環境応答学
【研究テーマ】
1.海洋生物の種多様性に関する研究
2.プランクトンの生態に関する研究
3.寄生や共生など海洋生物の種間関係に関する研究
【ひとこと】

ぜひ大学の4年間で自分の眼で見て、耳で聞いて、肌で触れて、様々なことに挑戦して自分だけの経験を積み上げてください。

研究紹介

近藤 裕介KONDO Yusuke

環境学部 地球環境学科 講師

もしクラゲが絶滅したら、多くの海洋生物が困ることになる?
PROLOGUE

海の中をプカプカと浮かび、気持ち良さそうに浮遊するクラゲ。透き通った体や鮮やかな色に見とれることもありますが、刺されると痛いし、大量発生で漁業被害をもたらすなど、美しさとトゲを同時に持つ存在でもあります。そんなクラゲに着目し、クラゲの生態や他の海洋生物との寄生・共生関係を明らかにすることで、海に生きる種の多様性に迫ろうと研究しているのが近藤先生。「実はクラゲはまだまだ分からないことの多い、不思議な生き物なんです」と先生は語ります。

クラゲは想像以上に多くの海洋生物と相互に関わり合っている

クラゲと聞いて多くの人が思い出すのは、海に浮かんで、近寄ると刺される、ちょっと嫌な生き物、ということではないでしょうか。水族館などで、青や赤に彩られたクラゲの優雅な姿を見た人もいるかもしれません。しかしそれらは、クラゲのほんの一部。クラゲは世界に3600もの種がいるとされ、日本近海だけでも600種が見つかっています。これは確認されているだけの数で、未発見のクラゲも多いのです。
クラゲは、実を言うと思った以上に他の生物と関わりを持っています。クラゲの周りには、エビやカニ、稚魚などが行動を共にしていることがあります。これらの小さな生物は外敵から身を守るため、毒を持つクラゲを「シェルター」として利用しているのです。また捕食関係で言えば、クラゲは肉食ですので動物プランクトンなどを食べますし、クラゲを餌として食べる魚もいます。大量発生して漁業被害をもたらすクラゲなんて手当たり次第に駆除してしまえ!とやってしまうと、クラゲと寄生・共生・捕食などインタラクション(相互の関わり合い)の関係にある海洋生物にまで悪影響が出るのは疑いありません。
これほどの種が生息するクラゲですが、どのクラゲとどういった生物が共生関係にあるのか、まだよくわかっていないのです。

研究室には、海洋生物の標本がいっぱい

体内水分が90%以上のため、クラゲの痕跡を追うのが難しい

私が最近興味を持っているのは、体長が数cm~10cmの、ヒドロ虫と呼ばれる小さなクラゲです。一般にはあまり知られていませんが、ヒドロ虫の種類はすごく多いんです。見た目の美しさと毒性の強さで知られるカツオノエボシも、実は多くのヒドロ虫が集まって形成された群体です。2021年には、ヒドロ虫の新種「シトウズクラゲ」が、瀬戸内海で発見された、という発表もありました。広工大が面する広島の海にも、新種のヒドロ虫がなお潜んでいるかもしれません。
しかし、ヒドロ虫の研究は簡単ではないのです。クラゲの体の90%が水分だからです。クラゲを捕食した魚を捕らえ体内を調べても、食べた痕跡はほとんど残りません。だから、海洋環境でクラゲがどんな役割を果たしているか、解明しづらいのです。ですが私は、クラゲが海洋生物の多様性にとって、重要な役割を担っているとみています。
せっかく海の近い大学にいるのですから、定期的に海に行き、ヒドロ虫を捕らえ、その生態や体の構造を観察したいと思っています。どんな海流、海水温度、季節の時に、どの程度発生するのか。他の海洋生物と、寄生・共生・競合などどう関連しているのか。定点観測を続けることで、ヒドロ虫の未知なる価値を明らかにするつもりです。

クラゲの標本。
標本にすると鮮やかな体色が
失われてしまいます

干潟の生き物や、他の生物の寄生・共生関係にも取り組む

クラゲ以外では、干潟の生物の研究も行っています。干潟の特徴は、一つのエリアで様々な環境が形成されている、という点です。干潟の表面で生活する生物もいますが、少し掘ってみると、貝やカニなど別の生物が現れてくる。もう少し深く掘ると、また異なる生物が見える。彼らの生活する場所では、砂の粗さや泥の深さが生物ごとに違っていて、同じ干潟でも条件が違えば彼らは生きられません。このような場所に住む生物は環境変化の影響をシビアに受けやすいのです。もし干潟がなくなったら、多くの生物が、丸ごと絶滅の危機に瀕してしまいます。そこで、干潟に住む生物と、そのインタラクションな環境を調べたいと思っています。
他に興味を持っているのは、海洋生物の寄生・共生に関する研究です。例えばウオジラミという寄生虫がいます。これが養殖魚に寄生し爆発的に増えると、養殖業に大ダメージを与えてしまいます。こうした被害を防ぐには、寄生虫のことを知らなければなりません。寄生虫も、どの魚にでもついてしまうわけではなく、つきやすい魚があります。寄生虫がどのような生存戦略で、その魚の環境に適応したのかわかれば、寄生虫が魚に悪影響を与えないよう、うまく付き合えるのではないでしょうか。
クラゲを始め様々な海洋生物と向き合い、多様性・インタラクションに関する考察を深めていきます。