電気エネルギーの新時代を考える公開シンポジウムを開催しました
2026.01.05
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第39回広島工業大学公開シンポジウムを、2025年12月7日に広島国際会議場で開催しました。
本シンポジウムは、「科学技術と日常生活の対話」という視点から、今日の科学技術をわかりやすく解説し、市民の皆様の理解を深めていただくことを目的として1996年から開催しています。
今年度のテーマは「あなたの暮らしが変わる、広島・山口発 電気エネルギー新時代」。第1部の専門家による講演と第2部パネルディスカッションを通して、エネルギー問題について多角的に掘り下げました。
■企業・大学・行政が協働してカーボンニュートラルの実現をめざす
第1部では、大学・企業・行政の担当者が登壇し最前線の取り組みを紹介。第2部では「広島県を含めた中国地区の未来の電力網」をテーマに議論を深めました。
第1部の講演者は、広島大学大学院 先進理工系科学研究科の造賀芳文教授/副工学部長、山口県産業労働部の東正信GX統括監、中国電力株式会社 執行役員 経営企画部門(設備・技術)の髙倉秀和部長、本学工学部 電気システム工学科の田中俊彦教授の4名。
広島大学の造賀教授は「日本のエネルギー政策と電力システムの将来像」と題し、国のエネルギー政策の動向や将来展望、エネルギー転換期の電力システムの在り方について語りました。
「EV・水素・AI・セクターカップリングが未来を支える」と語る造賀教授
山口県産業労働部の東氏は、「水素先進県」の実現をめざす山口県の取り組みについて紹介しました。人口1人当たりの二酸化炭素排出量が全国4位になる同県は、脱炭素化の推進が重要な課題になっています。周南地区は苛性ソーダ由来の副生水素が多く供給され純度も高いという強みを生かし、社会実装に向けた新たな水素サプライチェーンモデルを構築する取り組みや実証結果を紹介しました。
将来的には県内を5つのユニットにわけ、水素の推進を県全域に展開していくという
続いて、中国電力株式会社の髙倉氏が「日本のエネルギーセキュリティと最新鋭石炭ガス化複合発電設備(IGCC)の開発について」をテーマに講演しました。電力を安全に安定して供給する同社のさまざまな取り組みを紹介しました。
日本のエネルギーの自給率は10%。低いといわれる食料自給率(38%)よりもさらに深刻な状況だ
最後に、本学の田中教授が「マイカーが蓄電池に!EVが拓く、家庭のエネルギー革命と防災」と題して講演を行いました。
夜間電力でEVに充電した電力を、昼間の職場などで放電することで、契約電力の引き下げなどの経済効果が期待できる「EVドリームス」について紹介し、これを各家庭で実現することで、電力会社と家庭の双方に利益がもたらされると説明しました。また、EVやPHEVに装備された1.5kWの給電コンセントを防災時の電源として活用するための研究を重ねた結果、家庭用冷蔵庫での使用が可能となり、現在はエアコンでの使用について検証を進めていると述べました。
講演の始まりに電気自動車に関するクイズを出す田中教授。最新のEVでは一戸建て4人世帯の約5日分の電力量を賄える力があると話す
第2部のパネルディスカッションは、本学電気システム工学科の久保川淳司教授がコーディネータとなり、第1部の講演者と共に「広島県を含めた中国地区の未来の電力網」をテーマに議論を深めました。
島しょ部や中山間地区を抱える中国地区での、持続可能な電力の在り方について議論した
■参加者には高校生の姿も
参加者の佐々木さん(広島桜が丘高等学校2年生)は「学校では、数は多くないが、災害時などに必要とされるものを、デジタルで作ることに取り組んでいます。EVの災害時での利用はとても興味深かったです」と話します。
講演後の質疑応答の時間にも積極的に手を上げてくれた佐々木さん
本学では今後も「地域に根ざした実学教育」と「社会課題解決型研究」を柱に、産学官が協働して未来社会をデザインできるような取り組みを継続しています。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。